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第四章・9
部屋へ戻って箱を開けた要人は、その中身に顔をほころばせた。
ガラス製の天球儀を模したケースの中に、トリュフが数個入っている。
その一つを口の中で溶かしながら、今朝がた自分で喋った言葉を思い出していた。
『バレンタインデーには、恋人同士でプレゼントを交換するだろう?』
ああ、もう! 優希って! 優希ってば、もう!
その場で身悶えし、ごろんばたんと体をジタバタさせて要人は喜んだ。
今まで何となく一方的だった自分の好意。
ようやく優希が応えてくれた気が、優希の方から好きだと言ってくれた気がしていた。
『生徒間におけるバレンタインデーの普及率とその弊害について』
午後の役員会議では、やはりこの議題が上がった。
だがしかし。
「バレンタインデー、万歳!」
要人は両手を天に突き上げて、この俗な、商戦にまみれた愛の日を称えた。
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