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第五章・22

 優希は、と見ると、すっかり体から力を抜いて要人の下で喘いでいる。  要人は慌ただしく、彼に許しを乞う事にした。 「優希、俺のこと好き?」 「うん……」 「今、すっごく気持ちイイよね!?」 「うん……」 「あの、さ。さッ最後まで。このまま、最後まで行ってもいい!?」 「……」 「優希?」  返事が、ない。  代わりに、すぅすぅと安らかな呼吸が。 「ちょ、ちょっと、優希? ねえ、優希ったら優希!?」  軽く頬をぴたぴたと叩いてみたが、優希はもうすっかり眠り込んでしまっていた。 (何という迂闊ッ!) 「でも……」  幸せそうな優希の寝顔を眺めているうちに、これで良かったんだ、と気持ちが落ち着いた。 「酔ったところをいただいちゃう、なんて卑怯だよな」  とにかく、Bの入り口までたどり着いたのだ。  今日はこれで上出来だ。  後は優希を抱えて寝室へ運び、ベッドに休ませてあげた。  起きた時、彼が恥や不信を感じないよう、自分はリビングのソファに横になった。 「あぁ、でも悦かった~」  自分で自分の首筋を撫でながら、優希から受け取った愛情を反芻しながら、要人は眠りに就いた。

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