4 / 8

第4話※

「ここ……ですか」 「んぁッ……そ、そこ……もっと、指で押し潰し……て」  主人に言われるがまま、ジークは目の前で四つん這いになる牧人様の排泄器官へ指を差し入れ、ぐい、と指圧した。 「アァッ……も、イク……ッ!!」  事前に言われていたとおり、主人が達する素振りを見せたとしても、ジークは指圧の手を止めない。  トントントンッ、とリズミカルにある一点を刺激し続けると、だんだん指を咥えこんでいる内壁が狭まってきて、最後には…… 「あ、アァッ……ジーク、気持ちぃ……あ、で、出るッ、出ちゃう……ンアッ」  背中をビクビクと痙攣させ、牧人様はソファへ崩れ落ちられた。  彼の男性器からは、もう何度目かの薄い精液が滴り落ちていて、その表情は完全に(とろ)けきっておられる。……もう、堪らなく──。 「牧人様、これ以上の色気はもう(わたくし)には……」 「……そう、それが『エロい』って、……ハッ、……感情、だ」  今の牧人様は下半身だけ裸で、上半身には着衣したまま。起き上がるとその出ている部分と出ていない部分の対比がダイレクトに来て、これまた……エロい。 「お前のこれ、ようやく反応したな。ズボン脱げよ」  言われるがまま……というか、ほぼ強制的にベルトを外され、黒のパンツが大理石の床へ落ちる。  燕尾服は既に脱いで、流石にシワになるからとスーツ用のハンガーラックへ掛けさせて頂いている。  あっという間に下肢を丸出しにされ、改めて己の愚息を観察する。  そこにあったのは、普段メンテナンス等で目にする縮こまったシリコンパーツではなく…… 「お前の愚息……なかなか、立派じゃねぇか」  直接的な表現で主人が代弁してくださったが、ジーク自身。このパーツが膨張しているのを見るのは今回が初めてだった。  愛玩型ヒューマノイドならば、寧ろメインウエポンともいえるであろうこのパーツ。  しかし執事としての役割を与えられたジークにとって、本来執事が主人、または主人の親族と契ることはタブーであり、ジーク自身、そういったことに関する知識を無意識に避けていたのかもしれない。  加えて、ヒューマノイドには排泄が必要ない。飲食したものは全て腹部にある燃料タンクへ放り込まれ、活動エネルギーとして燃焼されるためだ。よって、トイレへ行く必要もない。  排尿も生殖の機能も備えないヒューマノイドの性器は、まさに『人間を悦ばせるための玩具』。  人間を孕ませる心配もなければ、性病などの不安要素も存在しない。  こんな紛い物である自分を、己が主人は求めておられる。  本来ならば潔く身を引き、どこか麗しきご令嬢でも探して引き合わせるべきなのだろう。  でもそんなことを考えると、何だか胸が苦しくなってくる。  ……嫌だ。  牧人様……牧人が、他の誰かと仲睦まじくしているのを想像しているだけで、気分が悪い。  彼の笑顔が、恍惚とした表情が、滑らかな肌が。自分以外の前で晒されると思うと── 「……本当に、よろしいのですね?」  恐らく自分は今、とてつもなく険のある表情をしていることだろう。 「ッ……お前、そんな顔もできたんだな」  しかし何故か牧人が怯える気配はなく、寧ろゴクリと喉を鳴らし、物欲しそうにこちらを上目遣いに見つめてくる。 「ほら、早く──来いよ」  こめかみが焼き切れそうなのを自覚しながら、私は目の前にある蕩けた果実を鷲掴み、一思いに奥まで突き挿れた。

ともだちにシェアしよう!