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第1話

 アールヴ、つまり、エルフが住むと言われるヴェスヴィア森林地帯。  人間がみだりに立ち入らないように定められた、所謂、禁断の土地。  その森の中で人間であるカルセド・ニーは意識を失いかけていた。 「あぁ……」  落ちたら、間違いなく、命も落とすような大きな崖……ではなかったが、カルセドは雨でぬかるんで弱くなっていた足場から真っ逆さまに落ちていく。  崖の上から落ちながらもカルセドは何とか、自身の頭部を庇うが、足部まで庇うのは無理だった。崖から落ち切った時、彼は起き上がることができなかった。  確認は無理だが、もしかすると、骨が折れていたり、出血していたりするのかも知れない。 「こ、ここまで、でしょうか……」  カルセドは辿々しく口にすると、何者かの気配を感じる。獣の類ではないかと思ったが、血の匂いがしないまでも動かないものを見て、彼らが食べもせず、襲いもせずというのはおかしい。  カルセドが閉じかけた目をもう1度、渾身の力で開くと、そこには金色に輝く弓を持った人物がカルセドを見つめていた。

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