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第1話
アスファルトを眺めながらトボトボと閑散な街中を歩いた。
白うさぎのガロは脱走したことの罰として、うさぎの神様に人間に変えられて、3日目になる。
ペットショップの隣のガラスケースにいる雌のキティと共にご主人様に買われた。
なんて美しい毛並みと愛らしさ、とガラスケースから見ていたが、実際、ゲージで一緒に住み始め、性格の悪さに辟易した。
うさぎは動物の中で一番、性欲があり、人間と同じ、く、唯一、年中、発情期がある。
「私、眠たいの」
「子供、あんまり好きじゃないんだけど」
何回か交尾はしたが、気分屋で、乗り気じゃない時は、その度、後ろ足で蹴られる。
食欲も、特に妊娠中は、ガロの分まで残さず食べる。
「妊娠してるんだから仕方ないでしょ」
なにも言い返せず、ひもじい思いにも耐えた。
ご主人様は悪い人ではないのだが、四六時中、抱きついて、息が出来ず、窒息しかねたこともあった。
詳しい事情はうさぎの神様に言い忘れた。
「....二足歩行、疲れる....お腹すいたな....ひまわりの種、食べた....」
パタン、とその場でガロは倒れ込んだ。
目を覚ますと見知らぬアパートの一室だった。
「あっ、目を覚ましたか」
黒髪で細身、長身なイケメンが傍らにいた。
気がつけば、布団の中だ。
ガロは起き上がった。
「行き倒れてたから、俺が自宅に運んだんだ」
「そうなんですか、ありがとうございます」
「にしても、人間、て薄情だよな。お前が倒れてるの見ても、見て見ぬふりで素通りなんだもんよ」
....人間?
青年の言葉に引っかかり、思わず、ガロは青年をくんくん、嗅ぎ回った。
「な、なんだよ」
「間違いない!」
確信したガロは収納していた白い二本の耳をぴょこんと跳ねるように取り出した。
「....お前、白うさぎか」
「はい。お仲間さんですよね?」
「ああ」
青年がまたぴょこんと頭から二本の黒い耳を取り出した。
「ああ!やっぱり!黒うさぎさん!」
仲間が拾ってくれたとは!と安心したガロだった。
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