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お世話をしてもいいですか?
家に帰ると靴を脱ぐのももどかしく、先輩と唇を重ねた。
「深谷……!」
「いや、ですか?」
怯える先輩の頬を手で挟み、そっと親指で頬を撫でると、小さく首を振る。
「その、経験がない、から。
……男同士の」
眼鏡の奥から不安そうに、少し潤んだ瞳がこっちを見てる。
そういうのはもう、……僕を直撃ですよ。
「先輩はなにも心配しなくていいんです。
ぜーんぶ僕が、お世話しますから」
ベッドに押し倒して眼鏡を引き抜く。
再び唇を重ねると、先輩は目を閉じ僕にゆだねてきた。
……そして。
「先輩、声、隣に聞こえちゃいますよ」
「む、むりっ。
……あっ」
深く奥まで身体を穿つと、先輩が声を上げる。
聞かせて欲しいところだがアパートの壁は薄く、隣の奴にも聞こえているかと思うと腹が立つ。
「仕方ないですね」
「……!」
口の中に指を突っ込むと、涙目で見上げられた。
抜こうと先輩の手が手首を掴むが、かまわずに身体を揺らすと、噛まれた。
その痛みすら、愛おしい。
大きくなっていく声を我慢するかのように指を噛む力は増していき、先輩の絶頂が近いことを知らせる。
「いいですよ、先輩。
一緒にイきましょう」
さらに奥深くまで穿ち、律動を早めると思いっきり先輩が指を噛んでくる。
けれど、その痛みすら忘れるほど快感は増していく。
「せんぱいっ」
「……、……、……!」
僕がイくのと同時に先輩のものが放たれる。
指を引き抜き、そっと先輩の髪を撫でると、ふにゃんと気の抜ける顔で笑った。
まだ意識が朦朧としている先輩の身体をお湯で濡らしてきたタオルで綺麗にしていると、不意に手を掴まれた。
「悪い、痛かっただろう?」
「先輩の方こそ、平気ですか?」
ちゅっ、軽く口づけを落とすとみるみるうちに赤くなる。
そういうのほんと、めちゃめちゃ可愛くて困るんですが。
左手指の根本には先輩の歯形がくっきり赤くついている。
これって。
「まるで結婚指輪みたいですね」
なんだか嬉しくて笑うと、先輩にわき腹をパンチされた。
「……買うか、指輪」
「いいんですか」
「ああ」
先輩。
これらもずっと、お世話をしてもいいですか?
【終】
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