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第7話 落ちる感覚

……腰の、ちょうどアレが当たっていたところが湿っている。スケスケで腰回りが完璧に露出しているせいか、感覚が妙に生々しい。しかもなんだかぬるい感じ。これはひょっとしてと思い、死ぬほどの思いで上を向いた。 「……悪い。ちゃんと責任取るから」 こいつヤリやがった。さっきのでイッたのかよ。本当に申し訳なさそうな声で謝られた。出してくれて嬉しい、もっと出したくれてもいいのだけれど、もっとイかせたい。そんな自分のものとは認めたくない心の声に知らないふりをした。 今までにない顔をしていた。いつも知ってるのは、昼からようやく学校に来て先生に怒られてる時のめんどくさそうな顔や、悪そうな先輩に囲まれてるお世辞にもかたぎの顔とは言えない怖い顔、つまらなそうに教室にいる時の話しかけ辛い機嫌の悪そうな顔。 そんなんじゃない。恥ずかしさが残りつつも俺のことをまっすぐ見ている。優しい、理想通りに俺を守ってくれそうな、とても優しい顔だった。愛おしいと思ってくれているのだろうか、守ってやる、そんな男らしい優しさの溢れる顔を見て、こんな状況だというのにすっかり安心してしまった。 「さなだぁ、、好き、だいしゅき〜」 最後は自分の言葉すらもまともに制御出来なかったけれど、それでも俺は精一杯に身を委ねた。なぜだろう、とても安心する、もうこいつから離れたくない。周りの声や真田の声を心地よく聞きながら、思考回路がとっくにショートしていた俺は崩れるように意識を失った。 どこか遠い夢の中。 身体がユラユラと揺蕩う。まるで自分が赤ん坊でゆりかごに揺られるような、そんな気持ちだ。夢を見た、そんなゆっくりとした世界の中で、夢を見た。目の前にいるのは真田仁。意識を失う手前で見た、あの優しい顔をしていた。幸せだ、悔しいけれどそう思う。そのまま顔が近くなって、優しい口づけを……あれ? おかしい。そう思ったものの夢の世界は俺の意思を無視して勝手に進んでいった。真田の舌が入ってくる、口の中から解かれている感触が妙にリアルだ。女の子とすらした事がない俺には刺激が強すぎた、文字通りされるがままってやつだ。それでもどういうわけか、俺の体は嫌がっていない。むしろ愛する人を抱きしめるように後ろに手を回してしがみついている。 両腕で俺の露出の多い踊り子服は更に暴かれていく、少なくとも上半身を裸にした事なんて造作もない事だろう。男の胸なんて触っても面白くないだろうに、優しく丁寧に揉みしだかれる。そして、ゆっくりと突起に近づく。コリコリと遊ばれる初めての体験に声を出して暴れたいが、夢の世界の俺は一切としてそんなことをする気配はなかった。随分と長いキスをし、その余韻に浸っているばかりだ。本当に俺は一体どうしちまったんだ。 「クッッウ…ひゃぁ、、ふぅぅぅう……」 怖かったその刺激はいつしか、俺が今日知ったあの感覚に近くなる、あの快楽と合わさっていく。女みたいな声を出して真田に媚びる自分に戦慄する。でも確かに、そう確かに気持ちいい。優しく触られるのは勿論急に強くなる刺激も極上だった。無意識に腰が揺れて、全身で誘う、目の前にいる雄が自分に噛み付くのを今か今かと待ち受けている。 「梓、すげぇ可愛いな。女みたいに乳首で感じて、腰揺らして」 梓。名前で呼ばれただけなのに、その破壊力は想像を絶した。それだけで軽くその、イッてしまうかと思った。冗談なしで意識が軽く吹っ飛んだ。いつもの俺が怖い怖いと遠目で見てきた奴とは思えないくらいの甘ったるい声で身体が作り替えられる、心の臓からこいつ色に染まっていく。。不思議と嫌じゃなかった、俺はこいつのオンナになるという事への恐怖心がなかった。代わりにあったのは無限大の幸福感。 「梓、ほら」 「……ん?」 されるがままに押し倒され足を開かれ、次なる行動を待つだけの自分に、突然左手を差し出してきた。俺よりも大きい筋肉質な逞しい手だ。どうしたのだろうと思っていたら、不意をつかれる。 「指舐めてくれ。ほら、慣らすのに必要なんだ」 耳元で聞こえる低音で鼓膜に訴える声は、それだけで興奮材料だ。慣らすとは何のことだか分からなかったけれど、指を舐めて欲しいことはちゃんとわかった。自分で言っておいて真田は顔を真っ赤にしていた。 差し出された左手を再度見る。これで俺はくみ解かれてきっとその、エロいことするんだろう。僕も同じく恥ずかしい思いもあったが、ふつふつと沸騰する恐怖心よりもグラグラと煮えたぎる愛おしさや原因不明の発情が勝る。顔が自然と指に近づく、興奮治めるべく少しだけ深呼吸して、指にかぶりつく様に口に入れた。

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