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第8話 プライドの消失

初めてのことで怖いはずなのに、予想に反して不安はなかった。頭の中が目前の男でいっぱいになる。人差し指と中指、薬指と指数を増やしながら舐めていると、なんだかAVでよくある男のデカすぎるアレにしゃぶりつく女の子みたいになってる気がする。 「いい子だ。すげえ可愛いぜ梓……」 頭を撫でられる感触。実に小学校ぶりだ。もう身長は母親よりも高くなったし、父親は昔からそんなことする人じゃなかった。懐かしい。まあ時と場合は全くと言っていいほどに違うけれど。少しの羞恥心を大きな期待でひた隠し、無我夢中でしゃぶり尽くした。夢の中なのにもう自分で自由に動けるようになったと何となくだがわかった。しかし自分の心はもう動いて抵抗する意思がない事も同時にわかった。 「もういいよ、ありがとう」 唾液まみれになった左手の指が艶っぽく光る。物足りないかもと少しでも思った自分は、言う通り女の子みたいなのかもしれない。でも、数少ないキチンと肌を隠す布であり、俺の最後の砦の腰巻きに右手をかけられたら流石に焦った。 「さ、真田、そこは……」 「大丈夫だ。俺も初めてだけどちゃんと気持ちよくするから」 思わず右手を掴んでしまったけれど、そんなの関係ねえと言わんばかりに脱がせてくる。痛みはないから多分遠慮してくれてるのだろう。まあそんな問題じゃないけど。腰巻きは俺の下半身の最後の砦だ。しかも上半身が全裸の今それが破られると言うことはつまり完璧な裸を見られると言うことだ。 それは流石に恥ずかしいと少し戸惑ったが、こいつときたら容赦なく脱がせてくる。 そして、自身が一糸纏わぬ姿になるときはそれはそれは呆気ないものだった。恥ずかしさで消えてしまいそうな俺とそんな俺を見て興奮する真田がいるだけだった。 「綺麗だ……こっちこい」 顔が近くなる。こんな見た事もないほどの優しい顔をするものだから、すっかり本当に自分が可愛いのかも、綺麗なのかもと思ってしまいそうになる。何がいいんだよ、女の子の方が柔らかいだろうし、綺麗だろうに。男に比べて毛深くもないだろうし……ってあれ? 俺ってこんなに毛が薄かったっけ? 「どうした?」 思わず身体をペタペタと触る。うん、毛がない。どれぐらいないかと言うと、産毛すらも生えていない。すね毛も消えているし、もしかして……まさかまさか、そう思い下半身を見た。……生えていない、ツルツル、産まれた時の状況のそれだった。 「う、ウソだ……」 男のプライドをズタズタにされる音がした。最悪すね毛はまだ許せる、でも下の毛は違うだろう、価値が雲泥の差だ。それ以外の体の変化は特には見当たらなかったが、俺の心を傷付けるには充分すぎた。そんな状況でもお構いなく真田は手を出してくる。そしてついに、その時が来た。 下の、俺の後ろにある、本来は排泄をするためのあの菊花に指が触れた。 暴れようとしたけれど抱きしめられるように身体を強く固定されている。耳元で大丈夫とかカッコよく言うんじゃない、ドキドキしてしまうだろ。 「ま、待て!そこは流石に……」 「ここまで来て待てかよ。生憎俺は犬じゃないんでな」 もうこいつ覚悟決めてるって感じだ、面構えが喧嘩してる時より真剣だ。俺は右腕で抑えられて文字どうりの実質無抵抗だ。指がどんどんと食い込んでいくのが感触でわかる。俺の唾液のせいだろうか、想像していたよりもするりと大した抵抗もなく入っていく。感じるのはまず異物感。もう一度いうが、俺はこの穴を本来の使い方以外では用いた事は絶対にない。異物感ぐらい許して欲しい。 「ウッ……気持ちわり、、」 やっぱり初めてだとできないだろう。こいつも流石に諦めるはず……だがまだ粘ってやがる。そんなところでしかもこの局面で、今までにない我慢強さを見せるな。マジで気持ちよくねえ。強いて言うなら……まあ奥になんか、ムズムズ? するとこはあるような気もするけど、あくまで気もするだからな。 「多分ここいらにある筈なんだ、ちょっと待ってろ……見つけた」 中指でほじくられて、多分真田の第二関節ぐらいか?の所をいきなり強く押された。それが何なのかなんて俺は知らないし、多分普通に生きてたらそうそう覚えないような事だったと思う。 でもそれをされた時、俺の体と脳は一瞬、空を飛んだ。

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