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第97話 カウントダウン

「ごめん、ちょっと……今日は、余裕がない。もう出る、だす!」 「ぅえ!? ちょっと待て、まだ心の準備がぁぁあ!?」 ……それからというものの、正直に言った記憶がないのである。厳密に言わせて貰えば中に出された瞬間に思考がぶっ飛んで、正常な言動ができなくなったというか。珍しく余裕が無い仁は早い目に中に出したと言うのに、その時すでに俺の理性ははち切れそうで、中出しで完璧に粉砕玉砕大喝采といった有様だった。 「なかあちゅ、い、もうむりぃぃ……」 「まだ1発しか出したねえぞ、後2発頑張ってくれるんだよな? おれも2発で我慢するから……もうちょっとだけの辛抱だ」 中に出された瞬間にイッてしまった俺に休息の時間などは特になく、ドチュドチュと中をガン掘りされた。よって俺の中であるはずもない卵子を探している可哀想な精子が、その父たるチンコで奥の奥、結腸に送り込まれていた。熱い、来てはいけないところに2つの雄に侵略されている。 この状態の俺が結腸責めに耐えられるわけはなく、あっけなく声を上げてメスイキを繰り返している。他人事として話したいぐらいには恥ずかしいのだが、目の前にいる仁は何やら幸せそうな顔をして俺とのキスを要求してきた。 「いぎ苦しいぃ……」 「鼻で息しろ。出来るだろ?」 発情だけでなく酸素が足りないことで、酸欠になった頭をなんとかとフル回転して苦しいと伝えた。ぶっきらぼうに振る舞っているように見えるが、肝心の行動はと言うと俺への負担を減らそうとしてくれているのか、明らかに優しい責めになっている。体力の続く限りは、あと1グラムの理性が崩壊するまでは仁を感じていたい。こうやっている時間が俺にとって最も幸せな時間だから。 必死に食い下がるようにキスに答えていると、さっき出したはずなのに中に入っているそれが以前と同じ大きさになって、「ああ……」っと小さく声を出した。でも俺が限界なのを察してくれたようで、そっと唇を離してくれた。物足りないなと、こんな切羽詰まった身体でありながら淫乱な事を考えている。しかしそんな俺の物足りなさは、ある意味最悪、もしくは最高なことで解消される、 「ちょっと体位変えていい?」 「ふぇ? たいい?」 「うん。ちょっとやってみたかったのがあってさ……体動かすよ」 注意喚起のように言われてさあこいと覚悟して身構えていたのに、やはり動かされたら声が漏れた。感度良すぎと小言を言われたのに今の状況ではどうやっても反論は不可能だ。そんな中でもどんどん動かされていく。気が付けば正面に向かい合うような体型だった俺たちは、俺だけが正反対になって仁の膝に座るような体位となった。 何をするのか、仁の顔が見えない分不安で仕方がなくってキョロキョロとあたりを見ていた。ようやく声を出した仁がいくぞと声を出した瞬間太ももを掴まれて、俺の身体が宙に浮くようになった。勿論ケツにはチンコが挟まったままだったから、ズルズルと抜けていくのが感覚でわかった。 「お、おいちょっと待て……何する気だ?」 ついに我慢できなくなり、不安の赴くままに声を上げた。ついでにちょっと後ろも向いたけれど、残念なことに表情は見えなかった。でも声色で怒ったりしていないのは勿論、寧ろものすごい元気だったから、かえって恐怖を感じた。そんでもって俺に帰ってきた何をする気だという質問の返答は、案の定ろくでもないものだった。 「なあさ、今宙に浮いてるだろ?」 「うん」 「でもチンコはまだちょっとだけ入ってるだろ?」 「うん。4分の1ぐらいはまだ刺さってるけども……あ」 「質問だ。今俺が手を離したら、梓はどうなるか分かるか?」 「……思いっきり、ブッ刺さります」 悪魔のような笑みで、正解と言われた。待たれよ、待ってくれ、否もう全部ひっくるめて待ちやがれ。絶対気持ちいいとかほざいたんじゃあねえよお前も無事では済まんし、多分気持ちいいとは思うけどもその前に痛いのが来ると思うんだ。俺痛いの嫌いだから勘弁してほしい、なんでもするから、常識の範囲内でなんでもするから。 「大丈夫だって、壊れてもちゃんと治してやるからな。じゃあそろそろ腕が辛いからいくぞ」 「待てや! 腕の辛さが動機で俺これから地獄見る感じになってるんだけど、マジでやるの!?」 俺の抵抗も虚しく、仁はせっせと準備をしている。おのれ真田仁、当代まで呪ってやる。こんなこと次世代に繋いだら可哀想だし、ひょっとしたら次世代俺の子供かもしれないから、あえて当代で我慢してやることにした。しかしそれとこれとは関係はなく、気持ちの良い事をさあやるぞと促されたら、身体の自由が奪われている俺には逃げ道がない。 そして穿たれる時、無事に俺の世界は崩壊した。

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