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第98話 中出しって

喉から出るのは、助けて許してという許しごいのみ。そんな事を望んだって慈悲の一つもくれないし、何より俺は被害者の側……だと思う。まあそんなこんなでとてもではないが会話ができる状態ではなかった。俺は勿論、仁も不可能だった。 「やっべ締り良すぎかよ……あと5発は平気でいける」 「お願い、しぬ、俺じぬがらぁ……イグゥ」 「もう根ェ上げてんのか? 大丈夫だ、ちゃんと約束どうり後2発で我慢してやるよ。だからこれ以上……エロい事してオレを煽らないでくれないか」 支えを失った俺の身体は当然だが地球の理の1つ、即ち重力に従って短い距離を自由落下の速度で落ちたのち、当たり前だが萎えることの知らないガチガチのチンコが刺さった。耐えられるわけがないと無我夢中で対抗するも、聞いた素振りがなく逆に撫で撫でされてる。この状態の恋人を見ても意地でも2発出す気だ、 こいつ悪魔だ。元々遅漏気味の絶倫なんだから、さらに無自覚ドSとか言う俺サイドにとっての地獄要素を増やさないでもらいたい。確かに俺はたまに、ああ俺ってマゾ入ってんなとか思う時はあるけどもこの状況で発揮されるのは困る。俺の周りは高松といい薫といいドSが多いうえ、そのうちの1人は自覚すらしたないんだから困ったもんだぜ。 「どうだ気持ちいいか? 可愛い顔しやがってよ、ほら何処が良いんか言ってみろ」 「ゔ、あ……おぐ、おぐがすきぃ……」 「前立腺より結腸かよ。知ってんのか、初めてと2回目やった時さ、まだ梓に無理させちゃいかんと思って前立腺だけで我慢したたんだぜ」 乱暴されてる今になってそんな事告白されても恐怖しかない。まだ無理をさせないために前立腺を我慢したってことは、薫の侵略があってもなくても、遅かれ早かれこの責苦を受けたことになっていたという事なのか。そうか分かったぞこいつが悪魔なんじゃなかったんだ、単にここが地獄なだけだったんだ。ここには神も天使も仏もいない。いるのは魔王だけ、そんな世界なのを思い出した。 「それがここに来て何人にも回されて、結腸の処女とられたって聞いた時にゃあそれは頭の血管ブチ切れたもんだ。まあ留が最初に殴ってたし追撃は止したけどよ……」 「む、ムリィイ……」 「うわ、大丈夫か?」 長いこと演説してもらっている中申し訳ないが、俺はもう限界だ。無理無理言ったてもなんだかんだで耐え凌げる、外装は豆腐で中身はダイヤな根性が売りではあるが、これは本当に無理だ。現にこのように脳内では弄舌なこの語彙力を耳に届くように言語化できるほど、頭に気力が残っていない。もう出来ることと言えば仁の動きに合わせてアンアン喘ぎながら、時々思い出したかのように無理ややめてと言った戯言を繰り返すだけだろう。 「ご、こめん! オレちょっと調子に乗った。そうだよな、女役の方が負担を大きいからな……」 流石に危機感を持ってくれたらしく、大きなそれをゆっくり抜いて体を支えてくれた。終わった。よく頑張った俺、褒めて遣わす俺。行き過ぎた快楽は拷問になる。魔王の時に学んだつもりでいたが、恋人との愛あるセックスでソレさせると堪えるのもわかった。こうやって嵐が過ぎ去った後はいろいろなものを考えてしまうのが俺なのだが、今回もこんな状況でも例外ではないようだ。 そう言えばセックスの後処理ってどうやるんだろう。俺いつも終わる時に気を失ったり邪魔者が入ったりして碌に後処理をしたことがない。そう思うと仁には感謝しないといかんな……ベットのシーツの処理、汗だくの身体をシャワーで清潔にする。思い当たる事はいくらでもあるが、その中でも俺はなんで俺今まで気にも止めんかったんと言った疑問が頭をよぎった。 「あれ中出しされたやつってどうしてんの」 「どうした急に元気になったな……まあずっとバテバテよりかは良いけど」 そういえばこの世界にゴムがないせいで俺は何発もの中出しを受けてきたけど、ひょっとしてあれは体内で消えているのか、それとも掻き出しているのか。いざ疑問を持ってみればもうそれはそれは気になる事だった。この世界はとにかく俺の予想を良い意味においても悪い意味においても上回ってくるから真面目に考えたら負けなのだが、これは勝ち負け関係なく真面目に考えないといけないと判断した。 「と、とにかく落ち着け。乱暴に扱っちまった詫びに風呂入れる、そこでゆっくり話そう」 文脈が消し飛んだ俺は、中出しした後って精子どうしてんのというトチ狂った質問をしてしまった。仁は焦りながらもちゃんと俺を抑えようとしてくれる。でも今2人で風呂入るとか自殺行為以外の何者でもない。何か確実にされそうと思いながらも、好奇心と身体を綺麗にしたい欲には逆らえず、そのまま承諾してしまった。

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