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第146話 性への目覚め
……ここで少し昔話をしよう。
ここだけの話、俺が初めて性に目覚めたのは思い出すこと13歳の時だ。遅いだって? そんなのは個人差なんだよ、その時から既に天才肌だった11歳の弟による度が過ぎた兄への不審のせいで色々と情報統制されてたからか、そう言うの疎くてな。実際保健体育で習うまで精通とかそんなの知らなかったぐらいだ。俺のチンコから白い液体出る日が来るって知った時はまあ恐ろしかった。
でもその授業からちょうど2ヶ月後ぐらいだな、未知なる精通への怯えがちょうど薄らいだ時ぐらいに、初めてを迎えてしまった。しかも俺の初めては夢精だった、一定数いるのかもしれないが、俺の周りではそんなのはいなかった。夢精は人によっては全くしないらしいが、生憎俺はしばらく疎かにしてると油断した時にお漏らしみたく出てしまう少し困った体質だった。
「なあさ、お前らってどうやって射精してるんだ?」
中学の時から図書委員会の常連だった俺は、司書さんもいない仲のいい友達しか居ない隙を狙って、そんな事を聞いてしまった。周りの男友達が一斉に俺を見た時は、なんでそんな目で見られてるのか本気でわからなかった。弟の周到すぎる情報統制によって射精の話がタブーになってることすらも知らなかった俺は、我ながらよく友達を失わずに済んだなと思う。今思えば、その時は女の子がいなくて本当に良かった。
「それはアレだよ、とにかくエロいの考えながら抜けばいいんだよ」
「エロいのって? 抜くのはまあ、少しずつ覚えてるけどさ、エロいってなんだ?」
「……巳陽、お前マジかよ」
チンコに刺激を与えたら大きくなって、射精する、独学の試行錯誤にしてはよく身についたなと過去の俺を褒めてしまう。自分に甘いんだから、俺。しかしエロいは難しい。初恋を迎えていない、夢精によって半強制的に性に目覚めさせられた当時の俺としてはエロいと言うのは中々の難題だった。結局のところ初恋は仁だったから、考えたくはないし認めるのも恥ずかしいが、俺は潜在的にゲイだったのだろう。
「梓ってもしかして……インポ?」
友達の言葉。インポ、勃起不全の事らしい。結局行き着いた先は気合いだ、根性論だ。友達が言っていた1日3回、忙しくても1回はするを義務のようにとりかかった。エロいと言うのがわからないからオカズ無しでやってたあの時の自分を思い出すと、少しセンチメンタルな気分になる。まあ物は慣れだ。中3にもなれば頭の中に理想の女性を思い浮かべて抜くことができるようになった。優しくて家庭的で、あと150㎝前後の小柄な子がいいなとかそんな事を考えながら抜けるようになった。今の彼氏は凶暴で頭が悪くて俺より大きいけど、カッコいいからセーフだ。
♢
さて今の話に戻ろう。俺の何の面白みもオチも無い性への目覚めを長々と語って申し訳なかった。まあ高2になって男に初めて奪われるやつの性への目覚めだと言うと少し面白味が増す……事はないな。でも、こんなしょうもない事で目覚めてしまった俺だからこそわかる。タマモにこんな形で性へ目覚めさせるわけにはいかない。
「その……気のせいじゃねえの? ほら俺って踊り子だし、ちょっと際どい服着てるだけだから……よく考えてちゃんと好きな人見つけて欲しいかな〜」
「いえ、僕は本気ですよ! ほら見てください、僕の股間見た事ないぐらい大きくなってるんです」
そう言いながらズボンをズルリと下げてきた。悪気はないが目に入ってしまった申し訳ない……のだが、俺の目に入った者は想像を遥かに超えるものだった。
「そ、その……お前のそれデカくない?」
「そうですか? 獣人の子供としては全然平均だと思ってますけど」
獣人怖え。成人男性の勃起よりもデカイのを容易く見せるんじゃあない。まあ仁よりかは大きくないけど、でもタマモの幼い見た目に相反するようにそそり立つ大きなそれにどうしても手がいってしまう。……熱を持て余したままのタマモと一緒にいたらまずい。俺は自分の発情体質のヤバさを1番知ってる、健吾ですら食べてしまうレベルだ。同じショタのタマモなんでカモでしかない、弟と同じ顔なのはまあ複雑だけど。
「……厠があるだろ、そこで抜いてこい。大丈夫だ、みんなには黙っといてやるから」
「え!? いや、その……」
1番穏便に済む方法をとったつもりだが、とうのタマモはオドオドするばかりだ。早くしろや俺に食われたいのか。
「その、狐は犬科なんです」
「うん」
「犬科の獣人は、他人に触ってもらわないと射精出来ないんです……」
そんなバカな、いや嘘を言っているようには見えないな。……マジなのか。
「じゃあ俺がいくから、それでこの話はチャラにしよう」
「……犬科の射精は30分続くんですよ」
……悲しいことに嘘をついてるようには聞こえない。そして、その発言に俺の心はたしかに揺れ始めていた。そんな長い射精を味わったら、どうなってしまうのだろうと。
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