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第150話 弟思いな世界
30分にも及ぶ射精が終わると、今までずっと快楽を味わったツケ払いと言わんばかりに身体中の力を抜いてぐったりした。最後の3分にもなると流石に勢いがなくなったが、それでも体感的に2リットルは余裕で出た。この小さな身体の一体どこにこんなに精子を隠し持っていたのか、シンプルに歳に似合わないデカチンコだ。
「あ、ァ、、あ、ずさ、さん……」
「お疲れ様。偉いぞ、いっぱい白いの出たな」
「あり、がとう……ごめんなさぃ……」
「謝る事ねえよ、俺の方こそ悪かったな」
さっきまでは俺の胎でもう1発搾り取ってやろうとか企んでいたが、気が変わった。30分に及ぶ射精は想像を絶する過酷さな事が見てわかった上に、これ以上負けた気になるのは嫌だった。そっと汗を拭うと、スッと力が抜けて全体重を預けられた。疲れているから休ませといてやろうと思ったが、しばらくして気を失っているのだと気がつく。
あっやばいと思っても後悔後に立たず。とにかくタマモの自室まで連れて行ってあげよう、風呂は……めんどくさいから後でお湯でしぼったタオルでも使って身体拭いとこう。すっかりはだけたメイド服を元に戻して、いやらしい乳首も隠した。こうしてまだ俺の身体はまだ見ぬ先へ一歩踏み出したが、今日の所はここぐらいで足踏みしておくのが目の前にいる少年のためだと判断した。
「頑張れよタマモ……!」
俺は走った、何人かに心配されたけど半ば無視する形で急いだ。俺の罪を払拭するためかもしれない、それともただタマモのために動く良心が残されていたからかもしれない。とにかく俺は急いだ。
♢
流石は皇子様の弟分、部屋は中々の豪華っぷりで、使用人相手には少し勿体無いのではと思うほど。豪華と言っても別にキンキラキンな訳ではなく、あくまでも日本の美いやヒノマルの美を守ったような造形だ。皇子様のことだしひょっとして使用人は誰だろうと同じような、つまりこれぐらい豪華な部屋を支給されるものなのかもしれない。よく考えれば城下町も港町もめちゃくちゃ綺麗だったし、よく考えたら城に使えるなんて超エリートじゃないとならないし、あり得る話なのでは。
ヒノマルの財政が不安になるが、港もあるしそれなりに大きいし、まあ上手く立ち回ってんだろう、知らんけど。とりあえず今はタマモを見てやるとかしかできない、晩御飯の時間は刻々と迫っているが、そんな飯は後だ。気付いてくれるかはどうでもよくて、ただそっと頭を撫でてやった。
「ごめんな、蓮……」
「……え? いま、なんと?」
びくりと飛び上がった。聞かれてしまった、ひょっとしたら都合よく蓮のところだけ聞き忘れて……
「蓮さんとは、誰ですか?」
ることはなかったな。何と説明しようか、タマモにそっくりな弟? 俺より優秀な弟? ダメな兄貴を持った不幸な弟? うん全部だな。俺の中ではどんなにタマモとそっくりでも、兄をも軽く超える優秀人間だとしても、兄には恵まれなかった不幸者と言われても、弟であることには変わりない。だからこそいざどんな人物か、誰なのかと聞かれれば、弟という言葉を修飾する事でしか形容ができなかった。それぐらい心の中では弟という生物と化してた。
「弟さんですか……まさか弟さんともこんなくんずほぐれつを?」
「いやいやそんな事はしてないって!!」
ごめん。こう見えてにいちゃんなんだけど、全然ダメダメで。何で血なんて繋がっちゃんったんだろうな、何で異世界にまで来てその顔を拝まなきゃいけないんだろうな。ってすまない、タマモに話しても意味のない事だった。こんな時はどうしてもいらん事を漏らしちまう。
「なるほど、まるで獣人の逸話みたいですね」
「逸話?」
獣人の言い伝えの話。まだ意識がふらついてんのか、途切れ途切れでぎこちなかった。獣人の言い伝えでは兄弟世界でも兄にあたるのは俺たちの世界、そして弟であるのはこの異世界。しかし通常は世界に兄弟が出来るなんてことはない、あの世界ができた後に同じ理屈同じ原理で世界ができるのはありえない。仮に出来たとしても、そんなモノは既に完成されてる兄の存在によって消されてしまう、強い世界が残って弱い世界が消える真理に基づいて。
「が、概念……頭痛てぇ」
「そうですね、僕もまだ真の意味は理解してません」
でも兄貴である現実世界は、死にかけのボロボロだった弟の存在を認めた。自分の世界にあるモノや生物を、弟の世界にあげたのだ。そうする事によってモノがある器として弟は正式に誕生できた。その兄が与えた生物の末裔がこの世界に住む人、つまりこの異世界にいる生物は皆現実世界に出自を持つということ。
「えっと、ごめん。何が言いたいんだ?」
「他とはどんなに離れていても、遺伝子とか血筋というのは引き継がれていくモノなのかもって事です」
…-まさか、そんなことがあり得るのか。もしそうだとしたら、まさかお前は!
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