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第25話

「全く、節操のない猫だな」 その四年生が去ったあと、放心状態のレオナに声を掛けた。 「……別にいいだろ。オマエには関係ない」 レオナはようやく乱れた制服を直しはじめた。 「何故断らないのだ」 「俺が強制的にはじめた関係だからな。オマエ以外にも俺には相手がいたってことだ」 マレウスよりも長い間このナイトレイブンカレッジの生徒をやっているレオナに他に相手がいるのは承知していたマレウスだったが、いざレオナが他の男に抱かれているのが気に食わなかった。 「……他寮生か」 「俺はサバナクロー内では抱かせない主義だからな」 「何故だ?」 「体力バカに毎日盛られに来られたら、いくら俺でも身体が持たねぇ」 「……そうか」 マレウスはそれが嘘だと気付いた。 レオナは酷く抱かれるのが好きだと言うことを知っていたからだ。 「僕はお前を大事にしたいと思っている」 マレウスはレオナの腕を引き、抱きしめた。 「離せ。……オマエは本当に暑苦しいヤツだな」 レオナは身じろいで、マレウスの腕の中から這い出た。 「本当は嫌ではないだろう?」 「この学園でオマエが一番いけ好かねえ嫌なヤツだ!!このクソトカゲ野郎っ」 「素直になれない猫か。僕が撫でてやろう」 「やるか、この野郎」 このやり取りが取っ組み合いの喧嘩のように見えるのだが、ただ単にマレウスもレオナも相手を考えてやっていることだった。 酷いじゃれ合いだった。

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