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第52話

俺は人を好きだの嫌いだの、恋愛ごとに関して苦手だ。 だからと言って人に恋愛感情を抱いた事がないわけじゃない。 俺だって恋愛くらいする。 ただ恋愛感情を抱いたらいけない相手ばかり好きになる。 初恋の相手は兄貴ファレナだった。 自分にないものを持つ兄貴に俺は惚れていた。 けれど血の繋がった相手に自分の想いを告げることはなく、十になった年に俺は国の政治家連中に倫姦され、俺は捻くれた。 俺がこんな傲慢な性格になったのはそのせいだろう。 政治家のジジィ達は俺に謁見として訪れていた、その謁見に兄貴が顔を出したときの絶望を忘れた日はない。 『レオナに何を……!!』 『レオナ王子は、……の、望んで此処にこうしておられるのですっ』 そう言いながら開き直るジジィどもに苛立ちを感じながらも、まだ王位を継いでなかった兄貴に俺は性液塗れの身体を起こしながら言った。 『……行為に邪魔をするな、兄貴』 『レオナ?!』 そう言ったらどうなるだろう、そう思いながら口にしたはずなのに、俺の目から涙が溢れた。 呆然と立ち尽くす兄貴を背にして俺はジジィ共の中に入り行為を煽った。 兄貴が王を継いでから俺の謁見は普通の謁見にはなったものの、快楽を覚えた身体は雄を求めた雌と化した俺は兄貴の目を盗んでは従者に身体を求めた。 日陰の第二王子は傲慢で気難しい、その裏で雄を求める変態野郎となった。 愛を囁くものもいたが、力づくで塞いだ。 俺にとって恋愛なんて幻のようなものだった。

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