55 / 104
第55話
「いい加減返事をしたらどうなのだ」
マレウスは俺の身体を拭きながらそう言った。
「してるだろうが。……止めろって」
「それは返事ではないだろう」
こんな肉体的な関係になって三年目のマレウスがこんな下らないことを言い始めた。
「僕がこんなにもお前を可愛がっでやっているのに、『好き』の一言も返せないとは」
「俺はオマエが好きなんじゃねぇよ。行為が好きなだけだ」
俺は人を好きになったらいけない。
好きだと口にしたら、全て砂になって消えていく。
まるで俺のユニーク魔法のようだ。
「僕ならお前を幸せに出来る」
「寝言は寝て言え」
「キングスカラー」
俺はマレウスに背を向けて丸くなって眠った。
ともだちにシェアしよう!