57 / 104

第57話 素直になる方法

「俺の部屋に忘れ物とか、マジでやめろよ。ラギーにまた怪しまれるだろうが」 昨晩のマレウスの忘れ物をレオナは届けた。 と言っても、レオナはいつもどおり温室の亜熱帯ゾーンで昼寝をしていただけなのだが。 きっと忘れ物を取りに来るだろうから、下手に動くとマレウスは捕まらないことを知っているレオナは待っていただけなのだが。 そしてラギーには既にマレウスとレオナの関係は知られているが、忘れ物ごときで茶化されでもしたら面白くないというところだった。 「キングスカラー、世話をしてくれたのだな。感謝する」 なんとなく昔を懐かしんで世話をしてしまった自分に溜息を吐いた。 「だいたいオマエはスマホも持ってねぇのかよ。忘れんならフツーはスマホだろうが」 レオナは『がおがおドラコーンくん』のお世話をするマレウスを見て、更に深い溜息を吐いた。 「携帯電話を持ってなくても、僕は何一つ不自由なことはない。連絡をとりたいときは瞬間移動魔法で会いに行けばいいことだろう?」 レオナは昔懐かしの携帯ゲーム機をマレウスに渡してから馬鹿にしたように笑った。 「プハハハッ……!!オマエが携帯電話って言うとガラケーみたいに聞こえんのな。スマホも持ってねぇから、オマエは流行り遅れなのかっ」 茶化したつもりだったレオナにマレウスは真面目な表情で考えながら言う。 「流行というものは繰り返すとシェーンハイトが言っていたが」 ここまで純粋に人の言うことを真に受けるマレウスをこれ以上笑うことが出来なくなったレオナは自分のスマホをマレウスに渡した。 「おい……、僕は使い方を知らない。それに壊れたら直せない」 時期妖精王となるマレウスがスマホごときで慌てているのが面白くて、レオナはそのままスマホを覗き見た。 「そんなオッカナビックリすんな。壊れたりしねぇから、素手で触ってみろ」 マレウスとレオナは手袋を外してスマホを弄り始めた。

ともだちにシェアしよう!