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第74話

マレウスは俺の中でイクと、そのまま俺を抱きしめながらベッドに横たわった。 「キングスカラーの中はとても気持ちがいい」 それは十年も抱かれて、慣れていればそうなるだろう。 「……そうかよ」 「お前は愛され慣れていないのだな」 「……」 図星を刺されて、俺は何も言えなかった。 俺は嫌われものの第二王子、無償の愛情など感じたことはなかった。 「そして褒められることに素直になることが出来ない。お前は不器用な奴なのだろう」 マレウスは俺の何かを分かったらしかった。 「俺は、……そんなヤツじゃねぇ」 「自分を認めるのが怖い、臆病な仔猫だ」 「誰が臆病だって?!」 「僕も臆病だ。……いつかお前に拒絶されるかもしれない。そう思うと、この関係がとても怖い」 マレウスが臆病だと? 俺との関係が終わることを恐れているのか? 「……オマエが不能になったら、さっさと終わらせてやる」 「ならば僕はあと五百年は関係を続けられるだろう」 「俺はそんなに生きないから終わりだ」 俺がそう言うと、マレウスは痛いほど抱き締めてきた。 「僕はキングスカラーを離したくはない」 「……」 これが本心なら、俺はコイツに愛されているのだろう。 なら、愛されるのも悪かねぇな。

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