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第82話

「良かったじゃねぇか、正式に親離れ出来て」 リリアの言う通り僕はサバナクロー寮のキングスカラーの部屋に来ていた。 僕の話を聞いていたキングスカラーは眠そうに大きなあくびをした。 「これで分かったか、キングスカラー。お前が僕からの愛を受け取る義務がある」 「俺は何も欲しくねぇし、俺は誰のモノでもねぇ。俺は俺のモノだ」 キングスカラーの返事はいつもと変わることはなかった。 「妖精族が執着心を変えることはとても凄いことなのだぞ。貴様は僕の人生を狂わせたのだから、その責任を取ってもらう」 僕はキングスカラーの身体を組み敷いてから、口付けを施した。 「……その責任はセックス一回分でいいな」 「なんだ、キングスカラーのこれからの人生を僕に差し出してはくれないのか?」 「おまえはバカか。百年と生きない種族の人生と、お前の何百年単位で生きる種族の人生の重さ考えろよ」 「禁術でお前の寿命を延ばしてやれば問題はなかろう」 「……オマエのその傲慢さは俺の上だな」 そう言うキングスカラーの腕は僕の首に絡みついていた。 「僕と数百年という人生を生きてみたくはないか」 「数百年生きてたら退屈な時間が増えるだろうが」 僕はキングスカラーの胸に触れてから擦った。 「僕の側にいてくれるなら退屈はさせない」 「途方も無い時間を生きるくらいなら、俺は土の下で寝てたほうがいい」 そうだろう、この男はそういう男なのだ。 だから僕はお前に執着せざる得ない。 「やはり僕は僕(妖精族)のようだ。お前が欲しくて堪らない」 この猫をどうしても手に入れたい僕は紛れもない妖精族だ。 この執着心は止められそうもなかった。

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