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第87話

何やらクラスメイトのサバナクロー寮寮生がキングスカラーの誕生日パーティーにチェスの相手をしようという話を耳にしてから知った。 キングスカラーは僕の運命の相手だと想い始めたのに、誕生日すら知らなかったというのは薄情だと思いながら、せめて何か誕生日プレゼントを用意しようと考え始めた。 僕の好きなものを贈ろうと思いガーゴイルを注文してくれるようにリリアに頼んだのだが、それを拒まれた。 「マレウスよ、誕生日プレゼントというものは自分の好きなものを贈るのではなく、相手を考えながら選ぶのが醍醐味じゃ。それにレオナの部屋にガーゴイルは似合わないじゃろう」 「確かに。キングスカラーの部屋にはガーゴイルはあまりに不釣り合いだな」 そう言われて僕は贈り物を改めて考え直すことにした。 「そうじゃ!!おぬしもわしと料理をせんか?実はな、レオナの誕生日にケーキを作ろうと思って今レシピを考えていたことろなのじゃ。ディアソムニア寮寮長と副寮長からの誕生日プレゼントにしようではないか」 ……えっっ?! それは是が非でも遠慮したい。 「いや、リリアの贈り物に僕が関わるのは辞めておこうと思う……」 リリアの料理がどんな腕前か知っている僕は、その申し出を断った。 「レオナが誕生日に喜ぶところを思い浮かべようとすると案外難しいと思うがの、相手のことを考えながら用意するのも楽しいものじゃ。マレウスのプレゼントでもきっとレオナは喜んでくれるじゃろうて」 リリアが贈る誕生日ケーキがどのようなものか想像出来ないが、レオナのことを思って作るのには違いない。 ならば僕もキングスカラーが喜びそうなものをプレゼントに出来たら良いと思いながら、考え込んでいたら、あっという間に当日7月27日を迎えていた。

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