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第105話 きっと恋じゃない。

俺の初恋は兄のファレナだった。 多分最初は兄への憧れだったと思う。 その想いが恋だと理解したのは、残念ながら肉体的な欲求を覚えた十歳の頃。 夢に出てくる兄に俺は抱かれていた。 夢の中の兄貴に酷く優しく抱かれたあと、とても激しく懺悔した。 ちょうどその時兄は王になりたてで、忙しく日々を過ごしていた。 俺が王ならもっと上手く人を使って動かすと思いながらも、その凛々しい鼻筋や鬣を眺め見ていた。 「レオナ王子、☓☓伯爵が謁見を申し出ていますが。如何されますか」 華やかな仕事は王の努め、汚い支持者を宥めるのは王位の見込みのない俺(王子)の役目、そう自分に言い聞かせて俺は政治家や爵位のある親父どもの玩具になった。 王になる夢は夢で終わり、俺は求められれば身体を開く安っちい王子で終わる、それは昔も今も変わらないことだった。

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