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第106話
ただ変わったことといえば、俺に数日に一回発情期のようなものがくるようになったことと、次期妖精王に組み敷かれることになったことくらいだろう。
しかもそのセックスは、皮肉にも俺が昔見た兄との快楽の夢と同じくらい丁寧で優しいものだった。
「やめろ……。なめ、るなぁっ」
「何故だ?気持ちが悦いのだろう、喉が鳴っている」
そうだよ、気持ちが悦いからやめろ。
そのオマエのする全ての行為が俺にとって気持ちの悦いものだからこそ止めろと言っていた。
俺はそんな気分になるためにこんな行為を始めたわけではないからだ。
汚い仕事が俺の役目。
惨めな仕事が俺の役目。
社交場からの招待状がオマエに届いていたら、きっとオマエは俺なんか抱かずに済んだんだ。
「キングスカラー、……好きだ」
社交場からの招待状がオマエに届いていたら、オマエは嫌われも者の俺なんかを好きにならずに済んだんだ。
「あ……、ああっっ」
オマエに俺なんて男は似合わない。
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