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第8話
月曜日のことだ。ヨゾラは左足を庇うようにして帰ってきた。左足首には包帯が巻かれている。
「うっかり階段で転んでしまって、捻挫したみたいです」
困った顔をしてヨゾラは微笑む。
「もーヨゾラって以外とおっちょこちょいだよね。無理しちゃダメだよ」
そうナナトが言っていたのを思い出す。
「ヨゾラ先輩ですよね……? 」
恐る恐る足を止めたナナトを見るが、全くの無表情だ。動かず、ただ真っ黒な瞳でこちらを見ている。
彼らは一体いつから入れ替わっていたのだろう。入れ替わって何がしたかったのだろう。
後ろで成り行きを見ていたヨゾラがため息をつきながら、こちらに来て足枷を外し、玄関の鍵を開ける。
「どうぞお帰りください。退学届は出していませんし、周りの方には急な用事で実家に帰ったと伝えています。それから……」
ヨゾラはクローゼットからいつの間にかなくなっていたバッグを取り出して、玄関の方へと投げた。
「ここでのことは誰にも話すなよ。話した所で信用してもらえないと思うけどな」
ヨゾラのふりをしていたナナトが、ヨゾラの姿でナナトのように話す。
「さっさと失せろ」
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