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第1話

 ピチャン――。  静かな、いっそ異様なほどの静けさの中で小さな水の跳ねる音がした。  水瓶と言うにはあまりに大きな、大人の女性の身長ほどはある飾り彫りの施された白く丸い大理石に張られた清らかな水に、床につくほど長い藤色の髪を持つ男は指先を浸す。途端、水が神々しいばかりに光り輝き水鏡のように二人の男性を映し出した。彼らの姿に僅か、笑みを零す。 「…………」  小さく何かを呟いて、そして名残惜しげに指を水面から離す。神々しいばかりの光は消え、水面はまた元のように何も映さなくなった。

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