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第17話

「先輩…お水ちょーだい」 「はいはい、どうぞ」 「腰痛ぇからマッサージして」 「はいはい」  結局、二人の交歓は明け方にカナトが気絶するまで続いた。  カナトは全身内出血と噛み跡だらけで腰が立たず、ベッドから立ち上がれなくなった。  アキラはさすがに少しやりすぎたと思っているのか、甲斐甲斐しくカナトの面倒をみている。 「先輩って……ヤバいね」  カナトはベッドで寝転びながら、ベッドに頭を預け、テレビを見ているアキラに話しかける。 「なんだ、急に」 「先輩って、マジでケモノだよ、ケモノ。俺、先輩とするまでこーゆーコトした事なかったから、最初はすげぇビックリしたんだけど、今回は特にね、ヤバかった。みんな、毎回こんなにすげー事してんの? 」 「え」  アキラが唐突にこちらを振り向いた。珍しい事に、目がまんまるになっている。 「え?」 「お前、だいぶ遊んでた、んだよな……? 」 「はぁ? んなワケあるか、他人に触られんのは嫌いなの。そーゆー動画みたいなのも、あんまり見た事ないし。あ! 先輩さ、見た目で遊んでるなぁって思ったんでしょ! それ偏見だからね! 」  ぷりぷりと頬を膨らませると、アキラが申し訳なさそうな、憐れみの籠った目で見つめてくる。 「えっと……なんかごめんな……。お前、もう多分ノーマルは無理だぞ」 「はあっ!? なんでそんな…いでっ! 」  カナトは思わず上半身を起こすが、腰の痛みで再びベッドに沈む。 「いや、もうお前後ろでめちゃくちゃ感じちゃってるし、俺ので慣れてるからな。強請ってくるぐらいだし」 「……っつ!? 」  淡々としたアキラの物言いにカナトは先程の激しい情事を思い出して赤面する。 「きっと他のやつだと満足できないぞ」  ニヤリと悪どい顔でアキラが笑う。 「じゃあ責任とってよ、先輩。俺の、大事な初めてをあげたんだからさ」  そう言ってカナトはなまめかしく笑う。 「それに綺麗でえっちな、先輩好みの人形は俺ぐらいだよ、せーんぱい。絶対離さないでね」 アキラは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに微笑みを深くする。 「もちろん。お前を離したりしないよ」  アキラはカナトの頬に優しく口付けを落とす。  ――絶対手放さない。  だってお前は唯一無二の、俺だけの大切な人形なんだから。  ――先輩が俺以外を見ないなら、俺は先輩の人形でもいいよ。ずっとずっと俺だけを見て、俺だけで遊んでね。

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