8 / 8

〈帰り道〉神々の立ち話

「よお。あの世界、やっと進んだんだって?」 「ああ。やっとな。大変だったぜ。相変わらず天上(うんえい)鬼畜過ぎる」 「お前んとこ、魔王退治ずーっと繰り返してたもんな」 「もういい加減嫌になってな。これでダメならあの世界潰す気だった」 「怖えーな」 「幼なじみが可哀想でさ。勇者が死んだ後がいつも悲惨で。魔物に食い散らかされたり街に帰っても火あぶりになったり。オレ的には勇者よりあいつが主人公」 「うわ、悲惨。どうやってクリアしたんだ?」 「勇者にバースト付けた。その発動条件が〈プロポーズのお断り〉なんだぜ?幼なじみ、また可哀想だった。ホント天上(うんえい)の野郎 鬼畜。そしてバーストのせいで、今回の勇者めっちゃ残念ww」 「さすが天上(うんえい)ww でもこれで歴史が進んだってことは、幼なじみが世界を救ったって事じゃね?」 「そうだよ。あいつのお陰で世界を消さずに済んだし」 「結局幼なじみが救世主かよ」 「そういうこと」 「じゃ、奴を精一杯祝福してやんなきゃな」 「ああ。神の御加護をな」 「神の御加護を」 眩しい。 魔王を倒して元・勇者となったこいつと街に帰る途中、雨上がりに大きな虹が掛かった。空気は澄み渡り、残った水滴に光が乱反射し、辺り一面眩く光輝いていた。 「……凄い。神様が祝福して下さってるんだ……」 「……ああ」 「お前頑張ったもんな。良かったな」 「お前がサポートしてくれたお陰だ」 「ご謙遜を。さま」 ひじで奴の横腹をつつく。そして二人で笑い合った。 「ありがたい事だな。――神の御加護を」 「――神の御加護を」 〈了〉

ともだちにシェアしよう!