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第110話

 洗面台の上に座って、大胆に脚を開いて。  こんなの恥ずかしいのに。 「やぁっ、あ、あ、あ、気持ち、ぃ、よっ」  すごく気持ちいい。溶けそう。爪先から指先、身体の、熱くてたまらない奥までとろとろに蕩けてる。  もっと激しくして欲しくて、脚を自分で抱えると、もっと深くまで熱くて硬いのが。 「あ、あぁぁ」  奥を敦之さんのがグリッと抉じ開けてくれた。 「あ、や……らめ……壊れちゃ……」  溶けちゃう。俺の。 「射精、止まらなっ、あ」 「あぁ、またイッてる」 「あ、あ、あ」  気持ちい。 「中がすごいよ。可愛いな。気持ち良さそうだ」  そこもっと突いて。  もっと、もっと。 「あ、好き……敦之、さっ」  言いながら、首にしがみつくと、覗き込むように角度を変えて、敦之さんが舌を絡めるキスをくれる。その舌に応えるように自分からもしゃぶりつきながら。  奥まで貫かれるとたまらなくて。足先にキュッと力が入った。 「あっ……ふ……」 「拓馬」 「あぁぁっ」  首筋にキスマークがまた。 「あぁあっ、あ、敦之さんっ、また、イッちゃうっ」  肌に愛撫されながら中を激しく揺さぶられるとまた達した。びゅくりと弾けて、自分の胸まで飛んだそれがかかるくらい。 「ドロドロだ」 「あっ……」  お腹の上には自分が吐き出した白が飛び散って。 「……ぁ……ごめ、なさい」  よく見たら、まだ敦之さんはベストにシャツ、スラックスの前をくつろげてる中途半端な格好をしていた。 「汚し……」  ベスト姿かっこいいから俺大好きなのに。 「ごめんなさい……」  汚しちゃった。 「拓馬? 少し、意識が戻った?」 「あっ……ふぅ、ン」  首筋に噛みつかれると、まだ貫かれたままの中がきゅんと締め付ける。 「服なんて気にしなくていい。そんなの。それより、生きた心地がしなかった」 「……あ、つゆき……さん」 「媚薬の類を飲まされたんだ」  媚薬、って。 「催淫剤のようなもので」 「ぇ……でも、俺……あ、あの時」  バーに誘われた。でも断ったんだ。そしたらすんなり「そうか」って言ってくれて。でもそれじゃあって、ジュースを奢ってもらって。あのペットボトルの……に? いつの間に? 「多分、拓馬の隙をついたんだろう」  敦之さん? 「怖くてたまらなかったよ」 「……ぁ」 「拓馬……」 「あ、あの、俺、でも何もされて、ませんっ。手、掴まれたけど、でも、あ、手、洗わないと、掴まれて、触られたところ、そこだけ」 「あぁ」 「……ン」  甘くて優しいキスに身体がぽかぽかと温まっていく。 「知ってる。ふらふらになりながら、帰ってきたら一目散に君がここに来て手を洗ってた」  だって、怖かった。何かされてそうで、でも、力なんて入らなくて、抗うこともできなくて。でも、声だけ自由になったから、呼んだんだ。  貴方のこと。  呂律回ってなかったかもしれない。あんな場所で貴方の名前を呼んだらいけなかったかもしれない。有名人で名家の人で、身分とかある人なのに。でも――。 「俺、貴方以外なんて嫌で」 「あぁ」 「だから、必死で」 「あぁ」 「貴方にしか触って欲しくない。俺、ずっと、あぁ……」  濡れた音と奥を貫く甘い快楽。 「俺、ずっと、貴方のものでいたくて……ぁっ」 「……たくなる」 「え?」  上手に聞き取れなくて、でも、今度は耳元で囁いてくれた。 「閉じ込めたくなる」  囁きながら奥まで貫かれた。 「君を誰にも……」 「あ、あぁあっ」  奥をクンって敦之さんのペニスでノックされたら、また、白がとろりと溢れて、それなのに貴方は構うことなく俺を抱き抱えてしまうから。 「あっ」  愛しい人の服をまた――。 「見せたくないな」 「あ、ダメ……俺、重いから、敦之さん」 「拓馬」  汚した。 「あ、あ、あ、あ、そこ、らめ……イッちゃうっ」  寝室まで抱っこで移動なんて。  貫かれたまま貴方にベッドへ運んでもらうのはゾクゾクするほど興奮した。 「あぁぁ、らめっ……なの、敦之さんっ」  重たいのにって恥ずかしがって、小さく耳元で話したら。抱き抱えて歩きながら、奥を一突きされて射精させられた。 「あ、あ、あ、激しいっ」  ベッドにそっと、壊れものみたいに寝かされて。 「あぁぁっ」  なのに、壊れてしまいそうなのほど激しく奥まで何度も貫かれて。 「あっン、アンっ……ン、あぁっ」  イクのが止まらない。何度も何度も。 「あぁぁあっ」  根本まで全部俺の中に捩じ込まれて、また達した。前はドロドロで、中も。 「あっ……あっ、たくさん、熱いの」  中も敦之さんの注いでくれた熱でドロドロで。それでもまだ中に注いで欲しくて、四つん這いの格好で尻を高く掲げるようにベッドに顔を埋め、自分から腰を振って、中をキュッと締め付ける。敦之さんのペニスを扱くようにしゃぶりつく。 「拓馬」 「あっ……ン、背中」  達した余韻にくねらせた背中に歯を立てたれて、また小さく白が自分の鈴口から溢れて零れた。 「あっ……あぁ……」  イキっぱなしの中を擦り上げるようにされながら。 「拓馬」 「あ、や……今、顔見られたく、ないっ」 「どうして」  きっとひどい顔だ。 「可愛い顔をしてる」 「あっ」 「俺に夢中になって乱れたやらしくて」 「あっ……」  唇を指でなぞって、舌をいい子って撫でてくれる。 「可愛いよ……拓馬」 「あ、あぁあぁぁ!」  向かい合わせになって、腰を敦之さんの両手が捕まえた。 「あっ」 「拓馬」 「あ、あ、あぁっ!」  深くまで。 「あ、あ、あ」  すごく深くまで貫かれながら、引く時に前立腺をペニスで撫でられて。 「あぁっ」  ひっかかりが孔の浅いところを擦ってくれて。 「あ、らめ……なの……敦之、さんっ」  イキっぱなしの身体の奥がきゅぅンッて。 「あ、あ、あ、これ、ダメ、だめ……あっ」 「拓馬」  奥の敦之さんしか入れない特別なところ。 「いい?」 「あっ」  貴方しか入れない、特別な――。 「あ、あ」 「拓馬」 「あ、あぁぁぁぁぁっ…………っ!」  そこを抉じ開けられた瞬間、頭が真っ白になった。精液じゃない、何かが飛び散ったのが俺はすごくすごく気持ち良くて、貴方の背中に爪を立てて、もっと深くに来てとしがみついた。 「あ……敦之、さん」  愛してる人しか入れないそこを許しながら、貴方を俺の中に閉じ込めたいと腕を回して、中を、奥をキュッと締め付けた。

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