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第1話
俺はオタクだ。
ゲームの世界に転生して、そりゃもう喜んだ。
教会に出かけて勉強を頑張ると同時に、冒険者ギルドでお手伝いしては魔物素材の欠片をもらって材料集めをした。
人型ロボットのガーディアンを作るのが俺の夢だ。
もちろん、欠片なんかじゃ模型を作るのが精一杯だが、実物は大人になったら作ればいい。
父は貴族ではあったが、母は妾だし、街中で暮らしていて、たまに来る父も俺にさして興味はない。家の教育も受けてはいない。
母はよく、俺に貴族らしくしろとヒスを起こしたが、そのうち俺に期待するのを辞めた。
俺はコミュニケーション能力が高くないし、好きでもない。
神父様の推薦で特待生として学校に受かった時も、俺は何も言わなかった。
ただ、12になったら家を出る、奉公先からお金が届くとだけ告げていた。
一応、特待生を出した家には報奨金が出るので、それで義理は果たせるだろう。
これで部屋を荒らされること無く、安息の地を手に入れられる。
俺は学校でひたすら壁のシミになることに注力した。
授業では目立たず、放課後は興味のある分野の学習に励み、休日は素材を買いに行った。
特待生特権の一人部屋は大きなガーディアンの絵が張られているし、机の上にはガーディアンの模型が並んでいるし、棚にはロボ漫画や素材が並ぶ素敵な部屋となっている。
将来の夢だが、騎士団付きの解体師を目指そうかと思っている。
それなら、多少は素材をもらえると聞いたからだ。
先生にもそう進路相談して、資格の勉強もしている。
素材の保管方法についてせっせとノートを纏めていると、いきなりバン! と机に手を置かれた。
「やあ、優秀なる腹違いの兄上殿」
「……ルーフィリス様」
「調子に乗っているようだが、正当な嫡男は僕だ」
「母が何か言ったのですか? 私は、騎士団付きの解体師を目指しています。貴方様の邪魔をすることはありません。先生にも言ってますし、推薦もいただいています。この推薦は覆るものではありません」
「解体師?」
ルーフィリス様はびっくりする。まあ人気ない部署だからね。
「魔物由来の素材に興味があるので」
「お前なら騎士団への入団も出来るだろう」
「自分が戦うのは嫌です」
「ハッ 臆病者だな!」
「平民ですから」
「まあそうだな。自分の分を弁えているのなら、構わない。はっそうだな。未だに人形を抱いて寝るような幼稚な人形狂いに貴族の矜持などわからぬか」
「……仰るとおりで」
母が言ったのだと、すぐに分かった。
そして、こんな教室の中でそんな事を言う腹違いの弟が一気に嫌いになった。
前世で虐められたトラウマがえぐられ、無理して笑ったが蒼白になっているのが自分でわかった。
それを満足そうに見て笑い、腹違いの弟は去っていった。
それから、壁のシミに擬態できていた俺はやはり虐められた。
本当は、高等学校もあったのだが、虐められていた俺は卒業をこれ幸いと騎士団付きの解体師に就職した。出世の道は絶たれたが、仕方のないことである。
学校までやってきて抗議してきた母にてめーのせいだと怒鳴った俺は悪くない。
それでも余計なことをしないという約束で仕送りの約束はした。
今度は職場まで押しかけたなんて事になったら目も当てられない。
入団式。
俺は支度金で、倉庫を借りた。
ミニチュア模型で十分練習はした。さあ、作るぞー!
まあ、まずは素材集めなんだが。希望通り、大きな素材を扱うガーディアン達の闇の牙騎士団に配属されたし、バリバリ働いて、ガンガン素材もらうぞー!
初めて見る本物のガーディアンも楽しみだ!
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