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第8話

猫も杓子もより良い餌を。し・ん・か! し・ん・か! そういうわけで、帝国の魔物討伐と竜の餌としての特性を基準とした分類化と養殖技術はグッと進んだ。 そんなこんなで15年が経って、ルイ様が竜牧場にやってきた。 「順調だね」 「ああ、精一杯それぞれの幸せを求めて頑張らせてもらっている」 「本当にそうだよね。これはこれで面白いからいいかな。さて、そろそろ第一回目の賭けを行おうと思うんだ」 「第一回目の賭け?」 「そう。どの血統が990年後に一番有能な竜になるか賭けるの。これは100年ごとに行う。その時、賭ける竜を変えてもいいけど、配当金は最低ランクまで下がる。同じ竜に続けて賭けるほど、配当金のランクは大きくなっていく。そういう仕組みなんだ。で、竜のいろんな才能を見るお祭りを100年ごとに行う。楽しそうだろ?」 「確かに」 「競技は同じだけど、祭りは各地で行うよ。まさか100年ごとととは言え、毎回世界中からきてもらうのは大変だからね。代わりと言ってはなんだけど、レースのうち一つは国中と帝国に様子を映してあげる。帝国だけは全部の国の開示用のレースを見れるってこと。代わりに、全部の国に開示用のレースをみられちゃうけど。開示用のレースだけだから、そこはまあ国の威光を示すか、切り札を隠すか、好きに選択してよ。あっ 開示用じゃないレースは本気でやってよ! 神様が見てるんだから!」 「開催はいつになりますか?」  ミレアスが聞く。確かに、それは大事だ。 「ここに祭の素案がある。スケジュールはこれ。5年後だね。同じ物を各地に配布しないとだから、僕はこれで行くよ」 「ああ、気をつけて」  私達は素案を見た。子供達のソル、アート、ラックも一緒だ。彼らはもう15歳。一人前なのだから。 「これは……荒れるね」 「確かに」  大変である。大変である。  必須レースに飛空部門がある。  しかも、ご丁寧に飛べない豚竜しかいない場合の競技方法まで書いてある。    更に言えば、子供を作らず去勢した子孫の望みのない竜以外は全員参加である。  まるで王子の婚約者探しの為に国中の貴族の女の子を舞踏会に招いたというお伽噺のようだ。  あのお伽噺では、隠されていた少女が思わぬ才能を発揮して王子の心を射止めるのだったか。  多彩だった。    竜の競技はとても多彩だった。  障害物レース、飛行レース、走行レース、ブレス勝負、騎竜戦、パズルゲーム、とにかく様々な方法であらゆる能力を試していた。  なお、帝国には旧竜によるデモンストレーションを希望されていた。これも大変だ。 「うわあ」 「早速父上に報告してくるよ。兄上達にも相談しないと」  大変な大事業である。 「大変な大事業だな!」  鼻息も荒く陛下は言った。 「とにかく、帝国としては王者の貫禄を見せないといかん!! その為にも、飛行レースは絶対に通常通り行わねばならん!!」 「お任せください、陛下! このエステスリーカ家がレオナス、必ずや素晴らしいレースをご覧にいれます!」 「お主は長男のテリオスと共に旧竜のデモンストレーションに集中せよ。絶対に失敗は許されんし、それだけでも大事業であろう」 「はっ かしこまりました!」 「イリアス、小竜の催しは任せたぞ」 「はっ 見事成し遂げて見せます!」 「ミレアス。お主は全体を見ねばならないだろう、なにせ神から運営を任された身」 「はっ その通りにございます」 「ということで、豚竜部門はよ」「私がいたしますわ!! 大船に乗ったつもりでいらして!! なにせ私、超短期で優勝ですから!! おーっほっほっほ!」 「補佐いたします、母上」 「おばあさま、お手伝いいたします」  ということで、帝国では王族が陣頭指揮をとって頑張る事となった。  船頭が多くなりすぎないか、という不安もあるが、ここは素直に王族の能力の高さを信じよう。  貴族教育は、3歳から始まるのではない。  父祖の代から連綿と続く教育で、ようやく真の貴族が作られるのだ。  調整力と政治力で王族より上などいるはずがない。    ここは各部門を信じて、私達は全体を見ればいいのだ。  さて、各国各地、竜が配られた全ての場所に竜大祭の概要が配られたのだ。  去勢されてない竜の参加が必須なだけで、別に去勢された竜が出てはいけないという法律もない。  帝国は、我と我が竜こそが出るのだと大騒ぎになった。  竜を何頭か飼っているところは、どうか乗せてくれと竜騎士志望のものが押し寄せた。  我が牧場もそうである。全部乗ってあげられないどころか、一頭でも運営が忙しすぎて無理そうなので、それはいいのだが。  アオがかなり繊細なんだよなぁ……。  アクアの子、アオは妖精のような子だ。空の青、海の青。  美しい大きな翼に、水属性の子で儚げな子で、人を乗せるなんてとてもとても。  とはいえ、飛べる子はすくないので、女王様に召集されてしまったのだが。  他国では大慌てで空飛ぶ竜にする為のノウハウを買い取ろうとしているそうである。  既に諜報戦が始まらんとしていた。  旧竜達も他人事ではない。王者の貫禄を見せんと、厳しい訓練を始めた。  なにせ、旧竜がするのはデモンストレーション。全ての競技を盛大にやっても、一竜一競技にしても、三分の一で終わる。  新竜が全員参加なのに、旧竜は激しい競争にさらされることとなったのだ。  そして旧竜の参加へのモチベーションは異常なまでに高かった。  5年後の大会を前に、今から悲喜交々が満載である。

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