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⑤
「チッ…くそっ、笑うなバカ犬ッ!」
バツが悪そうな、でも虚勢を張っているのか睨みながら俺にまたバカと言ってくる
けど、いつもはムカつく奴の言葉も、今はなんだか気分がイイ
今は何言われても腹も立たない
いやだって、だって
女の子にキャーキャー言われてる奴が‥‥
「い、犬がダメってぷはははッ腹よじれるしーしっしっ!」
「うるせー‥クソッ」
さっきと違って歯切れが悪い猿倉
ひとしきり笑って落ち着けば、最初の目的が浮上する
「おい、猿!この事言い触らされたくなかったら、分かってんだよな?」
俺が探し求めていた猿の弱点
こんな面白い弱点ほかにないし
だから俺に盾突くんじゃねーぞ的な意味で‥
そう言い放ったら、猿倉が俺の声に反応してゆっくりと目線が合う
その顔は、犬を見て怯えていたさっきの事なんか微塵も感じさせない腹立つほどの笑顔で
「お前こそ、忘れてねーよな?」
「は?何がだよ」
「俺にキスされて顔真っ赤にしていたのはどこのどいつだっけ?」
「ーーーッ!」
勝ち誇った顔して、留めとばかりに‥‥
「言い触らされたくなかったら分かるよな?」
そう言い返して来た
「テメェエエッひ、卑怯だぞ、それをネタにするって」
「お互い様だろ?」
「こ、この‥‥‥テメェなんか死ねッボーケッハーゲ、バーカバーカッ」
「痛たッ!テメッ‥このバカ犬待ちやがれェエエッ!」
「誰が待つか、ぶぁーーーかッ!」
弱みには弱みをぶつけられ
やっぱり俺は、コイツの事が大っっ嫌いだ
と、そう改めて奴に対する想いを
再確認した日となった
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目には目を、歯には歯を
そして弱点には弱点を!
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