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※第8話
「…きもち、…い…っ…」
「ん゛……っ…ぅ…」
頭を掴まれ喉奥を突かれるたび、閉じた瞼の裏できらきらと星が瞬く。
自らの口内で快楽を得る男の姿に興奮を覚えた七世は、じわりと下着が濡れるのを感じ、心の中で自嘲した。
なぜこのような行為まで受け入れてしまったのか、自分でもよくわからない。
ただ、誰かにこんなにも必要とされることが嬉しかったのかもしれない。
初めて彼とセックスをした日のことは、今でも鮮明に思い出すことができる。
暎が中学校を卒業した日の夜のことだ。
もともと出席予定だった彼の両親は、急遽仕事の都合で卒業式に参列することができなくなったのだ。代わりに出席した七世の目に焼き付いているのは、式の終了後に多くの学生が記念撮影をする中、一人 駐車場に歩いていく暎の姿。
暎は車内では一切口を開かなかったものの、自宅に帰ってからは至って普段と同じように振舞い、それが酷く痛ましかった。
その日の深夜、七世の部屋を訪れた暎はぎこちなく口角を上げ、「七世は、どこにもいかないよな?」と呟いた。ベッドに誘ったのは、暎ではなく七世の方からだった。
男と体を重ねたのは初めてだったし、快感よりも痛みを伴う行為ではあったものの、抱きしめられると涙が出そうなほど幸福感に満たされた。
もうずっと忘れていた、他人の体温。
心の穴を埋めるようにお互いを求めるのは、惨めに思われるかもしれない。
けれどあの時の自分には、体を重ねる以外の方法は何一つ思い浮かばなかった。
「あ、はは…。七世、エロすぎ…」
足元を見下ろす暎の視界には、我慢できないとでもいうように乱暴にベルトを緩め、自身の昂ぶりを慰め始める男の姿が映っていた。
あまりにも刺激的なその光景に暎は思わず、吐息交じりにそう呟いた。
「はぁ…っ、…気持ちい、の?」
「ん、んぅ……うん…」
余程のことがない限り崩れない七世の顔が、快楽に歪む瞬間。
自分だけが知っているという優越感と、誰にも見せたくないという独占欲が混じり合う。
そして、彼がどこまで自分を受け入れてくれるのかを確かめたくなり、加虐心が沸々と込み上げるのだった。
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