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第8話 ワン。

「…ぅ、……あ、ぅ…」 ぼんやりと視界が開けていく。 あれ…、ここ、どこだ………? あ、そうか……さっきまで、いしざきさんと、でぃなー……して、それ、で まだ酔いの回っている頭を使い、思い出していく。 あ、ここ、……ホテル… あれ、いしざきさん……どこ、 ふと、お尻に違和感を覚え手を伸ばそうとすると、 「!?ッぐぅっ、 ぉえ"…ゔっ、ぁ」 首が締め付けられたような苦しさを感じる その苦しさから逃れようとして動くと、さらに絞まって、 空気を吸いこもうとしても、咳が止まらなくて変な音が出る 「ッえ"ぅ…、ぁ?……な…に、これぇ…?」 見ると、自分の首と手首に銀色に光り、じゃらじゃらと音を立てる拘束具がついている。 首と手首の拘束具は前で、短い鎖で繋がっていて。 それで、さっき首が締まったことに気づく。 どっちもきつく結び付いていて、ちょっと引っ張っただけで苦しい な、なんで…こんなのつい、て…… これをつけたのなんて石崎さんしかいないのに、いつものあの紳士的な様子と違いすぎるからか、頭が混乱して痛い 「ふふ、ユイくん、そんなに勢いよく引っ張ったら痣が残るよ」 バスルームから出てきた石崎さんは心配そうに言いながらも、どこか光悦とした表情を浮かべている。 「い、いしざきさん…あの、こ…れ、」 「?ああ、大丈夫。よく似合ってるよ。僕の思った通りだ。」 そう言って満足そうに俺を見つめている でも、俺が欲しいのはそんな言葉じゃなくて、 「これ、…とってほし、…です」 そう言って、ジャラジャラと重い手を石崎さんの方へ向ける。 でも、 「あ、そうだ、足首にも付けるのを忘れてたね」 とまるで俺の声なんて届いてないかのように振る舞われるから、つい戸惑ってしまう。 「そ、そ…じゃな、くて…」 「こら、足動かさないで。 …それに、ユイくんもこうゆうの期待してたでしょ?」   「ッ、ぁ……」 そう言う石崎さんの顔が、否定なんてさせないといった表情で、違う、と言いかけた言葉を飲み込む。 確かに、いつもの倍払うよ、今日は〇〇ホテルで、ディナー奢るよ、と言われた時点で気付かないといけなかった。 バカな自分は、頭のどこかで優しいから大丈夫だと思ってしまっていた。 「よし、完璧だ。ユイくん、これから君は僕の犬になるんだから、ご主人様の言うことは絶対だよ?」 「…?どう…ゆ、う…っ、」 言い終わる前にぐいっと身体を引っ張られうつ伏せで腰が上がった状態にさせられる。 急に引っ張られたから、舌を噛んじゃって痛い 「なに……っ、ひ…ぁッ、」 「あー、もう1時間もローター入れてたからグズグズ。ふふっ、ユイくんローター入れられたまま1時間も寝れるって、すごいね」 ナカをかき回されながらそう言われ、顔が赤くなる 「ユイくん、これ何か分かる?」 「そ、れ…ッ、」 石崎さんが取り出したのは、尻尾型のバイブで。 尻尾が大きいからか、バイブの部分も太くて大きい。 「これ、入れよっか」 「や、まってくだ、さっ…ッひあぁあ"っ! …ぅあ"……ぁ、…ッふ、……ぅ、…ゔぅ…」 くる、し……っ、でか…い…重た、いッ…… 目に涙が溜まっていく 「ふふ、これで耳をつけて…ほら、可愛いわんこになった。鏡見てごらん」 鏡に映る自分の姿は、いくらお金の為とはいえ、あまりにも情けなくて、でもただ顔を下に向けることしかできない。 「ッこ、れ……や、」 「…ユイくん、」 低い声で呼ばれ、無意識に体が震える 「さっき言ったこと、忘れた? …それとも、躾をしないと分からない子だった?」 石崎さんはそう言って鞭を手に取り、俺の方に向かって歩いてくる 怒っているはずなのに、顔は微笑を浮かべていて。 本能的にやばい、と感じる 「ッち、ちが…!」 「うん、そうだよね? 分かってるよ、君は僕のペットなんだから」 頭を撫でられながら、優しい声でそう言われ。 ……おれ、は…ペット… ? 暗示をかけられたみたいに、その言葉だけが頭の中で反芻される ーーーーーーーー 「じゃあ、まずは散歩の練習しよっか」 さん、ぽ… 一瞬思考が停止する だって、こんな短い拘束具が付いてたら絶対にちょっと動いただけで首が絞まって、動けない そう思い、石崎さんの顔を見上げるも、抵抗できる筈もなく。 素直にベッドから下ろされる。 「ゔ、…ぐぅッ…ぅ……あ"、…ぅ」 首と手首を繋ぐ鎖があまりにも短くて、肘が擦れて痛い 鎖が短い分、進むために腰が上げないといけないから、自分から尻尾を振っているようで、羞恥心で顔が赤くなるのが分かる。 「うん、上手だね」 そう言って、石崎さんは頭を撫でるけど、頭の中は"早く終わってほしい"、ただそれだけで。 そんなことを思ってるのがバレたのか、 「ふッ……ぅ、ぃ"……ぅ…  ……ーーーあ"ゔぅッ!?」 急に尻尾を掴まれる 今までじっくりとナカを圧迫していたモノを急に動かされて、油断していたナカが突然の刺激に震える 「ッな、…な、にーーひッ、ぅ」 「いや、いくらお行儀の良いペットでもちゃんとリードは掴んだかないとね」 そう言って長い尻尾を揺さぶるから、ナカのバイブも一緒に動いて。 っこれじゃ、…まと、もに歩け…な、いッ… 「あ"っ…ヒ、…いしざ、きさっ…とめ、ッ ひぅ"ッ…、…ゆ、ゆらさな…っで」 「…ハァ、………ーーねぇ。」 溜め息混じりのその声色の低さに、一層体が震える ーーどうしよう、おこられる、 「言ったよね、ちゃんと言うこと聞けって。それとも何、本当にリードで引っ張られたいの?」 「ぁ"ッ、ーー」 やばい、そう思ったときにはもう遅くて。 首輪から伸びている長い鎖を掴んだかと思うと、そのまま思い切り引っ張られる 「っぐうゥッ、!?…ぉエ"っ……ガ…ァ、…ッ」 「何暴れてるの、ほら、こっちの方が良いんでしょ」 そう言ってもっと強く引っ張られて。 両手が地面から離れ、体から変な汗が出る 「ッ…ーーッお"……ァ"っ、ーーッ…」 ごめんなさい、って言おうとしてもハクハクと口が動くだけで声が出ない 跡ついたらどーしよ、とかそれ以前に、本当に殺されそうで、 目の焦点がブレて、何重にも景色が重なっているように見える   ァ 、…ーーあぁ、…だめだ、…もう、む、り… ……ぁ…、 「っと、危ない」 「ーーあ"ッ、ゔッ!……ゲホッ、ゲホッ… ………ァ……ッ、……ぁー…」 急に手を緩められたせいで、バランスが取れず鈍い音が床に広がる ……ぁ、?…あ、れ……生き、て… 顔が涎と涙でビチャビチャで、上手く酸素を吸い込むことができない 朦朧とした意識の中で、石崎さんの声だけが頭に鳴り響く 「……ーぃ、…おーい、ユイくん、いける?」 「…ゥ、?…ぁ…ぃし…ざ、き…さっ…、ゲホッ」 「うん、ごめんね、怖かったね」 そう言って俺を優しく包みこんで頭をよしよししてくれるから、さっき首を絞めた張本人だっていうのに、怖さが緩和されていく。 今、こんな状況でそばにいてくれる人は、石崎さんしかいないような気がして。 …あぁ、どうしよ、う…涙腺がばかになったみたいだ… 「ッふ、……ぅ、…ひぅっ…」 「よしよし、大丈夫、大丈夫」 俺の涙が止まらないから、石崎さんの肩がどんどん濡れていって、でも気にせず慰めてくれる 今だけ、今だけは甘え、たい… 「……ッ、…ぅ…」 「落ち着いた?」   コクコク頷く 「ユイくん、さっきの怖かったねぇ?」 「…う、ん…ッ、」  「もう怖いのされたくないよねぇ?」 「ん、…い、やだ…ッ」 「じゃあどうしたらいいか分かるね?」 「ッ、…いいこ、なる」 「そうだ、僕の言うことはちゃんと聞くんだよ?」 分かった、と頷く その時、石崎さんの顔がやけに歪んで見えたけど、もう何も考えたくなかった。

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