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第1-1話●闇夜の秘め事

 夜の闇は好きだ。  私という狂い壊れた本性を周囲に隠し、昼間は上辺だけの整った姿と宰相という肩書き通りの人間だと通すことができるから。  もう壊れたものは元に戻せない。  それをたったひとりにだけ私は見せる。  月の光はおろか、星の輝きにかろうじて照らされた夜空すら遮った私邸の部屋。  小さなランプに灯りを点して繰り返すのは、叶わぬ欲の慰めと解放――。 「は、ぁ……ッ、ぁぁ……ん……む、ぅ……っ……」  執拗に最奥を突かれ、私は息も絶え絶えに啼く。  もう何度目の絶頂を与えられただろうか。それでもなお私を求めて離さない男を、私は快楽に溶けた目で見上げる。  ほのかに見える彼は、私を険しい眼差しで見下ろす。余裕のない顔。果たして快楽を得ているのかと不思議に思うが、私の中で何度も精を放っている。  どれだけ鍛えても筋肉が思うようにつかない私と比べ、彼は強靭で恵まれた肉体を持ち、凛として雄々しい顔立ちにいつも惚れ惚れする。  この世界で最も愛おしく、私を狂わす顔。  快楽に何度も溺れて意識が虚ろとなる頃、私は緩んだ唇で尊き名を呼ぶ。  どこまでも甘く、すべてを委ねる声で。  すると決まって彼は苦しげに顔をしかめ、私の中を何度も抉る。

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