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第25話※

 赤い花弁のような跡をいくつも残した大腿をさすりながら、ローションを纏わせた指をヨゾラの後孔につぷりと挿入する。 「……んっ」  指をゆっくり出し入れされて、内壁が擦られる感触にヨゾラは息を詰める。 「ちょっとキツい、かなぁ……? ヨゾラ、大丈夫?」 「……少し、違和感があります……」  ほんの少しの気持ちよさはあるものの、異物感の方が強く、ヨゾラは堪えるような顔をする。  随分と不快感が強いのだろう、先程まで立ち上がっていた屹立が萎えてしまっているのを見て、ナナトはヨゾラの唇を食み、口を開けさせる。 「ヨゾラ、キスしよ。こっちに集中して」  ナナトは丁寧に口内を舐め上げ、歯列をなぞる。ヨゾラもナナトの動きを真似て舌を動かす。あの男とは決してしなかったキスという行為は、ヨゾラにとって未知の領域だ。ナナトの気持ちいい所を探そうと必死になる。  しばらく舌を絡めていると、お互いの唾液が混ざり合い、溢れたそれはシーツに染み込んでいく。 「ふ、ぅん、あ、あ……」 ――あ、気持ちいい。頭がふわふわする。  ヨゾラは思考を止めて、ナナトがしてくれている、気持ちいい事を享受する。  気持ち良すぎて、何も考えられない。ナナトの気持ちいい所を探す余裕なんてない。徐々に体から力が抜けていく。  ヨゾラの蕩けた顔を見ながら、ナナトは力の抜けた後孔を解し始める。 「ヨゾラ……好きだよ、大好き」  キスの合間に愛を囁くと、それに答えるようにヨゾラの中がきゅっと締まり、指を締めつける。  しばらくキスを繰り返して唇を離すと、ヨゾラが微かな喘ぎ声を漏らす。 「キス好きだね、ヨゾラ」 「はい……はい、好きれす……」  ヨゾラは恍惚とした表情で、リップを塗ったように艶々した唇をペロリと舐める。  ヨゾラがとても従順にナナトからの快楽を受け取る姿は、ナナトの気分を高揚させる。頭がくらくらするほど興奮して、もう我慢なんてできない。 「も、入れていい? ……勃ちすぎて痛い」  ヨゾラは優しく笑って体を起こし、ナナトの首に腕を絡める。 「はい、来てください」  ナナトは指を抜き、自身の先端を後孔に当てて、ゆっくりと腰を進めていく。 「……ん、んぅ、はぁ……っ」  少しずつ内壁を擦りながら割り開かれる感覚にヨゾラは感じ入る。 「あっ、ナナト……気持ちいい、です……」  指よりも太く、大きいものが前立腺を掠めて快感を生み、ヨゾラの萎えていたペニスも少しずつ硬さを取り戻しつつあった。 「……あ、なか、すご……」  ペニス全体に絡みつくように内壁が蠢き、ナナトは息を吐きながら奥へ奥へと突き入れる。  ゆっくりと進め、ある程度まで入れて、引き出す。  ナナトは無理矢理奥を暴いてしまいたい欲を押さえて、緩やかな抽送を繰り返す。ヨゾラのいい所を掠めるだけの、ゆっくりとした動きだ。  なるべく長くヨゾラを堪能したい。すぐに出したらもったいない。  その一心でナナトはヨゾラの耳や首筋にキスをして、快感を逃す。  ヨゾラは為されるがままだったが、やがてその揺蕩うような快楽に耐えきれなくなり、声を上げる。 「……ナナト」 「ん?」 「焦らしているんですか?」 「違うよ、ヨゾラの事を、ゆっくり堪能したいだけなの。ダメ?」  ちゅっ、とナナトはヨゾラの頬にキスを贈る。ヨゾラは瞳を伏せて、何か言おうとしては口を閉じ、それを繰り返して、ようやく意を決したように口を開いた。 「あ、あの、その……」 「何? 言いたい事があるならちゃんと言って」  ヨゾラは真っ赤な顔をして、ナナトを見つめる。ナナトは優しく微笑んで、ヨゾラの言葉を待っている。 「……は、激しくしてください」 「ええっ? 激しく? うーん、何を、どんなふうに、激しくすんのかなぁ? 俺わかんないなぁ」  ナナトはうっすらと微笑みを浮かべて、にやにやしている。 「…………っ!!」    ――分かってて言わせるつもりですね、貴方という人は! 「ほら、ちゃんと話す練習だよ、言ってみて」  そう促され、ヨゾラは羞恥で回らない頭を必死で動かして、なるべく恥ずかしくない言葉を選び出す。 「……その、な、ナナトのを……激しく、う、動かして、ください」  ヨゾラが蚊の鳴くような声でたどたどしく言うと、ナナトは考えるそぶりを見せる。 「うーん、えっちな感じが全然ないけど、俺もそろそろ我慢の限界だし、まぁいっか」  ナナトが会話の間、しばらく止めていた律動を再開する。とちゅっ、と軽く奥を突いた後、ナナトは腰を引く。 「ヨゾラ、しっかり前押さえててね」  そう言って、ナナトはヨゾラの耳元に顔を寄せる。 「ヨゾラの気持ちいいとこ、とんとんしてあげるね」

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