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第1話

とある世界、とある村外れの森。 そこに一人の男魔女が住んでいた。 魔女に男は少なく、彼はめずらしい男の魔女だった。 見かけは美しい黒髪と濃い紫の目を持つ愛らしい少年だがその実、何十年も生きている。 たまに彼の魔女としての色である紫のフードとマント姿で人とかかわる以外は少年は一人で生きていた。 魔女となったその日から、虐げられたこどもを拾うその日までは。 その日男魔女は妙な拾い物をした。 魔女の住んでる森のちかくに腕を失った血だらけのこどもが横たわっていたのだ。 そのとき、何かうるさい気配が近づいてきて、凶暴な気配も感じられた。 彼はきまぐれで、魔法でこどもを隠すと凶暴な気配の前に姿を表した。 深く紫のマントとフードをかぶった姿で。 「アヤメの魔女様!」 「さわがしいな」 彼ははわずらわしそうにつぶやく。 「混血の子が紛れ込んだのです!」 「あのやろう、どこ逃げやがった」 そのうるさい様子にやはりかまう価値もなかったかと彼は一言いった。 「うるさいといっている。立ち去るがいい」 そういって、強風をおこし、そのばのひとを遠くに飛ばした。 少年はまわりにだれもいなくなったことを確認するとあらためてこどもをみた。 「まったく……本当に妙な拾いものをしてしまったな」 その子どもはは血にまみれてわかりづらかったが白く見える銀髪に白い獣の耳がはえていた。 「まあ、しばらく退屈しのぎにはなるだろう」 少年の姿をしていた男魔女はさすがにこの姿では運べないと美青年に変じるとこどもをかかえて魔法で自宅へ飛び去った。

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