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第2話 秘密なふたり②

「それは、翔多のほうがかわいいからじゃないか」  恥ずかしい言葉だな……と浩貴は自分でも照れながら答える。  でもそれが事実なんだから、そう答えるしかないではないか。  翔多はとてもかわいい。  そんじょそこらの芸能人なんか目じゃないくらい綺麗な顔立ちをしている。  黒目がちの瞳は澄んだ湖のようで、鼻は高すぎず低すぎず形良く、唇はまさにさくらんぼのよう。  出来過ぎた一つ一つのパーツが、少女のような小さな顔に、これまた完璧に配置されている。  サラサラストレートの髪はキューティクルも健康そのもの。肌もトラブル知らずの赤ちゃん肌だ。  もし神さまが人間を作ったのだとすれば、翔多はまさしく最高傑作だろう。  恋人の欲目ではなく、誰もが認めていることだ。  だが、浩貴の褒め言葉にも翔多はあまりうれしそうではない。 「男にかわいいっていうのは、褒め言葉じゃないわよー、浩貴クン。オレからすれば、浩貴のほうが綺麗だと思うけどね」 「いや。オレは目も切れ長で鋭いし、きつめの顔立ちだから……」 「うーんとね、この本によると、背が高くて体つきがしっかりしてるほうが、攻めになっているみたいだね。浩貴はオレより背が高いし、スリムだけど体にもちゃんと筋肉ついてるもんね。となると、今の攻め受けの関係は変わらないってわけか。あーあ」 「おい、翔多、なんだよ? その本!」  いつの間にどこから取り出したのか、翔多は一冊の漫画雑誌を見ている。  浩貴は雑誌を翔多の手からひったくり、パラパラとめくった。  キラキラした少女マンガ特有の絵柄の男たちが、濃厚なベッドシーンを繰り広げている。  かなりハードなセックス描写で、男性向けの成人雑誌も顔負けである。なのに、絵柄はキラキラ、ペンのタッチはどこまでも繊細で、いかにも女の子が好みそうなものだ。

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