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第5話 明るいオーラ

 浩貴の家は、八年前、母親が他界したため、現在は父親の(ひろし)、長男の浩貴、次男の浩之の男三人所帯だ。  食事は、基本的に料理が趣味の父親が作っているが、ごく稀に浩貴が作ることもある。掃除、洗濯などは当番制でこなしている。 「今日は翔多くんが来るって、浩貴から聞いてたんで、晩御飯はすきやきにしたよ。肉も奮発したから、いっぱい食べてってくれな」 「わー、うれしいー、ありがとー、おじさん」  ニコニコと愛らしい笑みを浮かべ、翔多は浩貴の父親になついている。その顔色が少し青い。  ……やっぱり、さっきはちょっとムチャしすぎたかな……。  浩貴が翔多の体のことを心配していると、 「おい、浩貴っ。なにボーッと突っ立ってんだ? そこのお皿とってくれ。あとネギを洗って、それから……」  息子とその親友の本当の関係など、微塵も知らない父親が容赦なく手伝いを命じてくる。  翔多は、言われるまでもなく、テーブルにランチョンマットを敷いたりして、いそいそと手伝いにいそしんでいる。  その姿がかわいくて、自然と浩貴の口元がほころんだ。  ……翔多って、そこにいるだけで、その場が明るくなって、なんだか和やかになるんだよな。  本当、不思議なやつ……。

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