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第1話
「ああっ、今日もマジ疲れたぁ~!!」
俺はいわるゆオジサン。いや、まだオジサンではないけど、多分オジサン。…ぶっちゃけ、30才って…なんか微妙だよな。
俺は中小企業に働くごく平凡なサラリーマン。しかし平凡すぎるがゆえ、抗えない事実が生まれてしまう。
「結婚って…結局、顔で決まるんだよなぁ…」
ある日、会社の上司で好きな人ができた。
27才で俺よりも年下ではあるが、そのストレートな長髪と下まつげの長い容姿は、なんとも美しかった。
俺は今年こそは結婚しないと親に顔が立たない、という思いのまま、彼女に告白した。結果は…あっさり断られた。それも、「罰ゲームよね?」とか笑いながらである。
俺はその出来事が頭から離れないまま、途方に暮れた。しかし途方に暮れては給料が貰えない。仕方なく職場に行き、いつも通りの日々を過ごす。…それだけだ。
確かに悲しいよ?好きな女性に否定されるのは、俺の全部が否定されたみたいですごく悲しい。だけどもそれが社会の図。変えることはできないんだ。
「ただいま。」
俺はある日、いつも通り帰宅についていた。俺は上司に振られた悲しみが今でも忘れられなかったのである。俺は先の見えない悲しみに襲われながらも、玄関に立った。
そこで、得体の知れない違和感が走る。誰か、居るのか――――?玄関の扉が音を立てて閉まった。
「…え?」
電気が、ついている。おかしい。どうして一人暮らしのはずの俺の家に、電気がついてやがるんだ?
俺は半ば焦りながらも、部屋の中へ入る。部屋の中央にある卓袱台 の上に、見覚えのないポテトチップスの袋が無造作に置かれていた。
だ、誰だ!?俺は不思議に思って、あるいは計り知れない恐怖を感じ取って、辺りを注意深く見渡した。
そして目が合う。ソファーの上でぐったりと横たわる、謎のイケメン男子を。
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