4 / 12

第4話

 男によってベッドまで強制的に連れられると、力強くベッドに押し付けられた。男は俺の上に跨がる。  ま、待て。これって…この体勢って、いわゆる…『押し倒されている』、ってことだよな? 「え、あの…」  ひたすら視線で、早く退けろと訴えかける。しかしそんな俺の願いは届かず、男は俺にキスをしてきた。 「んっ…、はぁ…!?」  俺はあまりもの出来事に驚き、男の肩を両手で掴んで押しのけようとする。だが、男はビクリともせず唇を押し当ててくるのだ。  お、俺の…ファーストキス…、こんなヤツに貰われてしまうなんて…それも、あっさりと。  そして男は、ついに舌を入れてこようとしてきた。 「まっ、待て待て!一旦、退けろ!」  一線を越えてはならない。ただその想いで、力任せに男を退かす。男は驚いた顔をしながら、まじまじと俺を見つめた。 「何で、したくないの?」  男はきょとんとした顔で見つめてくる。その顔が妙にいやらしい。俺は恥じらいを殺して、言った。 「…ファ、ファーストキス…だったんだよ」  言った直後、俺の頭は沸騰しそうになっていた。たとえファーストキスだったとして、この男に言って何の意味がある?俺は慌てて言い直した。 「まっ、お前程度の男なら、こんな俺のファーストキスとか考えられないだろうがな!」 「…嬉しい。」 「は…?」  男の思わぬ発言に、聞き返してしまう。 「僕に初めてをくれたことが、嬉しいんだ」  男は幸せそうに笑う。…俺のファーストキスを貰ったくらいで、こんなにも喜ぶ男がこの世にいるとは…。  俺は何か気恥ずかしくて、男から視線を外した。 「あの~、アンタ…かなり特殊だな」 「どういうこと?」  男は何も分かっていないのか、優しい瞳で聞き返してくる。 「というか、彼氏相手にアンタはやめてよ。誠司(せいじ)、誠司って呼んで」  誠司…どこかで聞いたような気がするのだが、どうしても思い出せない。俺は名前にばかり気を取られ、適当に相槌を打った。 「ねぇ、悠太郎。本当に可愛い♡」 「…あの、さ。ええっと…誠司…君?」 「誠司で良いよ」 「じゃあ、誠司。…何で俺とヤる気なんだ?」  誠司はニコニコしながら、真面目に答える。 「それだけ、悠太郎が魅惑的だから!」  その回答に、力が抜ける。じゃあ彼女居ない歴=30の肩書きは何なんだよ!くそっ、コイツ、童貞をからかいやがって…! 「意味分からねぇ…」 「もう、悠太郎が本気になれば、世界中の人達はヤる気になれるよ?」 「もっと理解できん!」  誠司はふつふつと笑う。…本当に、この男と話していると気が狂う。 「昨日のことを覚えていないから、そういう事を言えるんだよね…?」 「は?昨日?」  誠司は何かに躊躇しながら、丁寧に言った。 「バーの中で、あの客達の悠太郎への目線…あれは、…獣だった。だから僕が引き取った。」  誠司は大切な物を見つめる時の目で、優しく言った。 「僕だから悠太郎もこんな対応ができてるけど、もしも太ったオジサンだったら、もっと嫌でしょ?」  誠司は儚げに言う。…いや、確かにそれも嫌だが、その前にバーでの出来事が気になりすぎて止まない。俺、マジで何をしたんだ…? 「あの…俺、バーで何をしたんだ?」  誠司は口元に手を当てて、言うか言うまいか考えいた。だが決心すると、一部始終を話してくれた。 「悠太郎、バーでさ、『相手が男でも良いからとにかく付き合いたい』って言い出してね。それで周りの飢えていた男が次々に反応して…。」  俺も誠司も口ごもる。次を聞くのがひたすら怖い。 「僕のバーは、まぁいわゆる…ハッテン場なんだよね。だから男達が悠太郎の泥酔したテンションに便乗して、悠太郎を犯そうとした。」  俺は唾を飲み込む。いや待て。どうやったらそういう雰囲気になるんだよ!?しかも、バーがハッテン場だっただなんて…前から調べておくんだったのに…。 「――――とにかく、この話をしたら悠太郎にとって気持ち良くないでしょ?早くヤろう。僕のテクニック、最高だから!」  そう言いながら、誠司は服を脱ぐ。俺はそれを横目で見ながら、先ほど誠司が言っていた出来事について頭を巡らせていた。  ヤバい、思い出せない。俺、何を言ったんだ?何をしたんだ?どうして、俺は…。 「ほら、悠太郎も脱いで?」  考え事をしていると、急に誠司が俺の服をまくりあげた。 「うわぁっ、ちょっと、待…!」  その時、誠司が裸であることに驚いて硬直する。質の良い白色の肌、綺麗な形の筋肉。まるで、本の中の王子様、そのものだった。  俺は彼の体に気を取られているうちに、彼は俺の服を順調に脱がす。やがて残りがパンツのみとなった時に、俺はようやく我に返った。 「まっ、待て!そこだけは!」  俺はそんな願いはこの男には届かないだろうと思っていたが、さすがにパンツを脱ぐか脱がないかとなると、誠司は手を止めたようだった。 「確かに。急ぐ必要はないよね。」  誠司はニコニコと笑う。そして俺の脚と脚の間に体を挟むと、俺にキスをしてきた。 「んぐっ…」  俺の脚が上向きに上がる。俺の股間に、誠司のアレがくっついている。俺は恥ずかしすぎて、軽くパニックに陥っていた。  誠司はゆっくりゆっくり俺とキスをすると、俺の大切な所々の一つに手をかけたのだった。

ともだちにシェアしよう!