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宵待ちの月の人

何とか家に辿り着いた僕は、 スマホを開いた。 サエゾウが、早々に音源を送ってくれていた。 僕は急いでそれを開いた。 そして、スマホにヘッドホンを刺した。 「…」 うん… 聴こえる… 僕は慌てて五線譜を取り出した。 曲に乗って、聴こえてくるメロディーを、 僕はすぐにそこに書き出した。 身体が感じなくなってしまった今となっては、 この曲だけが、僕とあのバンドを繋いでいる 細い糸のように思われた。 僕は、聴こえてくるまま… 歌詞とメロディーを、具現化していった。 出来た… と、そのとき… スマホにSNSのメッセージが入った。 僕はおそるおそる、それを開いた。 …シキからのメッセージだった。  会いたい。  今すぐウチに来て。 僕は愕然とした。 そして、震える手で、返信した。  勘弁してください またすぐに返ってきた。  画像送るけど 「…」  わかりました。行きます 僕は…そう返信するしかなかった。 画像の弱味を握られた僕は… シキの家に向かうしかなかったのだ… ピンポーン… 僕は震える手で、呼び鈴を押した。 ガチャッ ドアが開いて、シキが出てきた。 「遅いよーもうちょっとで送っちゃう所だったよー」 「…すいません」 僕を招き入れると、彼はドアの鍵を閉めた。 「カオル、会いたかったー」 シキは、僕を抱きしめ…口付けてきた。 少し酔っている風だった。 そしてそのまま、僕をベッドに連れていき、 ドサっと押し倒した。 「もーカオルとやりたくてやりたくて…お前のこと考えながら、何回も抜いちゃった」 そう言いながらシキは、僕のシャツを捲り上げ、 乳首に吸い付いた。 「…んっ…やめてっ…」 僕は、反射的に… 彼の身体を押し返してしまった。 「…なに、抵抗するの?」 「…っ」 僕は、力無く… その両腕をダランと下に落とした。 「いい子だね…」 ニヤッと笑いながら彼は、 僕のシャツを首の辺りまで捲り上げた。 「これが舐めたかったんだよねー」 いやらしく言いながら、シキは僕の乳首を、 まさにペロペロと舌で舐めた。 「…はっ…あ…」 そしてもう片方の乳首を、指で転がしてきた。 僕の乳首はすぐに硬くなった。 「あっ…んん…」 僕はビクビクと、身体を震わせた。 気持ちいい… なんでだよ…リハのときは感じなかったのに… なんで今… こんなに気持ち良くなってんだ、僕は… そうして僕のモノは、 僕の意思とは裏腹に… また、勝手にいきり勃ってしまった。 「気持ちいいの?…ねえ、気持ちいいんでしょ」 「…んんんっ…」 僕は、顔を歪めて首を横に振った。 シキは、僕のズボンを脱がせた。 「気持ちいいんじゃんー」 言いながら彼は、ニヤニヤ笑って、 いきり勃った僕のモノを見下ろした。 そして自分も、ズボンを脱ぎ捨てると… すぐに僕の両足に手をかけた。 「…いや…」 ああ…また挿れられちゃう… ごめんなさい… カイさん…サエさん…シルク… 僕は両手で顔を覆った。 「はっ…やめて…ああっ…」 ぐいぐいねじ込まれるシキのモノは、 僕の身体の芯から、快感を突き上げた。 奥までしっかり挿入され、 ビクビクと僕を刺激する彼のモノが放つ快感の波は、 意識が朦朧とするくらい、気持ちよかった。 「…あ…あ…ん…」 僕は力無く、喘いだ。 シキは、僕の両手を掴んで 左右にしっかり押さえつけた。 「…嫌がってるのに気持ち良さそうだよね…」 言いながらシキは、 僕の顔に口付けてきた。 「…その顔…たまんない…」 「…ん…んん…」 そしてまた彼は、 僕の乳首をペロペロと舐めた。 「はあ…あああっ…いや…あ…」 そのとき、 絶頂に向かって昇り詰める僕の頭に… ふと、あの宵待ちの月のメロディーが浮かんだ… そうか… あの人も… 地上で気持ち良く犯されたせいで、 月への還り方が分かんなくなっちゃったんだな… 可哀想な、宵待ちの月の人… 可哀想な…僕… と、シキがゆっくりと… 腰を動かし始めた。 「…あっ…ああ…」 それは、僕の身体中にグルグルと渦巻く快感に トドメを刺した。 「はあっ…あ…あああっ…」 大きな快感の絶頂に、全身がビクビクと震え… 僕のモノは、敢えなく吐精した… 「イっちゃった顔もたまんない…」 言いながらシキは、息を荒げながら、 野獣のように、激しく腰を動かした。 「はあ…はあ…あっ…」 そしてグイグイと奥に押し込まれたモノから また、生暖かい感触が広がった。 シキは、バタっと… 僕の上に覆い被さった。 そして僕の顔を両手で押さえて… 何度も何度も、執拗に口付けた。 僕はもう… 何も考えられなかった… ゆっくり僕から引き出したシキは、 身体を拭くと…僕の隣にバタッと倒れ込んだ。 …帰らなきゃ… 僕は、身体を起こそうと試みた。 と、シキの腕が、僕の身体に絡みついてきた。 「まだ行かないでー」 彼はそう言って、背中から僕を抱きしめた。 そして後ろから…僕の乳首を弄った。 「…んん…」 また、ゾワゾワした感覚が、 身体の奥から湧き上がってきた… 心身ともに憔悴した僕は… シキのなすがままに、 快感の波に溺れていくしかなかった…

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