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第17話
(ちょっと……、マジかよ……)
彼の熱い吐息でガラスが曇る様まで判ってしまう自分の視力が恨めしい。
朝から刺激的で驚愕の男同士のセックスを見せつけられて、俺はボカンとその場に立ち尽くしていた。
そして、何度めかの青信号を逃したとき、「木崎、おはよう」
急に声をかけられて俺は文字通りに飛び上がった。慌てて声のほうに視線を移すと、そこには以前のプロジェクトでお世話になった先輩の佐竹 さんが立っていた。
「どうしたんだよ、今朝は早いな」
佐竹さんに話しかけられて、はぁ、と生返事をしながらまたあの窓をちらりと見た。もう、その窓は厚くカーテンで遮られて中の様子は伺えなかった。
(……あれは一体何だったんだ?)
それから俺は何度か通勤途中にその光景を目にする事となる。そして、いつも窓越しに男に抱かれて喘いでいた彼が水無月馨、その人だったのだ。
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