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第16話
背後から彼を抱きしめるオッサンは何度も頭を動かしてその唇を貪っている。左手はバスローブの袂から彼の胸へと滑り込み、厚い布地の下で蠢いていた。
その様を呆気に取られて見上げているうちに、二回目の青信号も逃した。
やっとオッサンが唇を放すと彼は少し顎を上げた。その尖った顎先から反らせた喉、そして、バスローブのはだけられた胸もとの肌の白さに、網膜が焼きつきそうになる。
急に彼が苦悶の表情で下を向いて、窓に右手を付く。彼の胸をまさぐっていたオッサンの手が、どうやら股間へと伸びたようだが、大きくは無い窓は彼の下半身をあらわにすることはせずに、ただ薄く口を開いて目を閉じている表情だけを透過していた。
後ろのオッサンが忙しなく動いているのが判る。それに合わせて彼の体も前後に揺さぶられて、彼は手のひらだけでなく、その額まで冷たい窓ガラスに引っ付けてしまった。
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