90 / 140

第90話

 ああ、そうか。  そもそも男同士の間に愛だの恋だのが芽生える訳なんて無いと無意識に思っているから、佐竹さんは水無月と話さえすれば全て水に流して、あの頃のような親友関係に戻れると考えているのかも……。  さて、もう一頑張りするか、と背伸びをした大杉さんが、 「でも、水無月がここに居るのなら俺も会いたいなあ。あの頃、相談にも乗ってやれなくてすまないって謝りたいよ」  なぜかその大杉さんの言葉も素直に受け取れない。  そりゃ、五年も経てば何とでも言えるよ。でも当時、彼に佐竹さんの酷い仕打ちを打ち明けられたとして、あんたはちゃんとそれを受け止めて接する事が出来たのか?

ともだちにシェアしよう!