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第111話
「っ! 恭介っ!?」
短く叫んだ水無月の腕を掴むと佐竹は無遠慮にもズカズカと部屋の中へと入り込む。
ダブルベッドの置かれた広い空間に出ると、何かを確かめるように部屋の中を一瞥して、水無月の腕を振り回すように放った。
「恭介、いきなり何しにきたっ」
水無月が強く掴まれた腕を庇いながら佐竹にいきり立つ。きつい物言いだが、その声は僅かに震えていた。
「ふん、やっぱり今夜も木崎と一緒か。どうやってあいつを誑 し込んだんだよ、馨?」
「馬鹿な事を。それよりも早く出ていってくれ。お前と話すことは何も無い」
「どうだかな。わざわざこの部屋に泊まって、あんな姿を見せつけるなんて、どう見ても俺に対する嫌がらせだろう?」
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