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第120話

「……あの、……木崎君」  佐竹が居なくなってしばらくして、水無月は蚊の鳴くような声で俺の名前を呼んだ。  全く、なんて不安そうな顔をしているんだ。ほっぺたばかりか鼻の頭まで赤くして、今にも泣き出しそうで、そして……。  可愛いじゃないか。 「どさくさに紛れて告っちまったけれどさ、さっき言ったことは本当だから。俺は水無月さんが好きだ」  はっ、と水無月が息を呑んだ。その表情はまるで信じられないと言っている。俺は笑いながら、 「先に俺を落とすって言ったのは水無月さんだろ? そのとおりになったのに嬉しくないのか?」 「それは嬉しいけれど……。でも、どうして? だって木崎君はノンケで……」

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