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第124話
「じゃあ、湯たんぽにしていた男達は?」
「あれはゲイバーの仲間。皆、バリネコだから誰とも本番はやってない。だけど、あの大学生の子だけは店での僕達の話を聞いていたみたいで、面白そうだから協力するって……」
あのクソガキ、はなからこの人を喰う気だったんだろうな。
「ところが最初に見られたのは恭介じゃなくて君だった。あんな破廉恥な姿を君に見られて落ち込む僕にあの最初の朝の彼が、」
――初めに強烈なインパクトを与えておいて、自分はこんな人間なんだ、と知ってもらうほうが後からカミングアウトするよりもいいかもしれないよ。
「今は当時の僕を知る人も元の会社には殆ど居なくなっていたから段々と、その、……偽りの自分を演じるのが楽しくなった……」
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