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第137話

***  翌朝――。  馨が長期滞在していたシティホテルをチェックアウトして、いつもの通勤路を逆方向に歩いていく。  ホテルのロビーを出てから馨は何故かよそよそしく俺と離れて並んで駅まで歩いていた。それに少しムッとして、無理やり手を繋いでいる。 「もういい加減に手を離して。木崎君の職場の誰かに見られたら……」 「今さら何言うの? 馨だって往来で俺に抱きついたりしただろ」 「あれは夜も遅かったし。それに名前も……」  これが本来の馨なのか。さっきから顔を赤くしてチラチラと窺いながらも俺と目が合いそうになると、ぱっと視線を逸らして俯き加減だ。それが本当に可愛くて守ってやりたくなる。

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