1 / 28

第1話 足りない魅力 <Side 熊原

 モラルなんて言葉を、俺たちは必要としない――。 「おれぇ、熊原(くま)のが一番好きぃ」  くったりと垂れ下がり反応を示さない俺のペニスが、ねろんと根本から舐め上げられる。  椅子に腰かけた俺は、制服のスラックスの前を寛げ、ぼろりとそこだけを外気に曝している。  サイドを刈り上げたスッキリとした黒髪は、俺の遊び心の無さを物語る。  一重の切れ長の瞳で、感情をあまり見せない俺は、人を寄せつけない冷たい印象を持たれがちだ。  基本的に何事にも興味が薄い。  素っ気ない対応をする俺をクールだと慕う者もいるが、ほとんどは、感じが悪いと嫌悪される。  見た目から、硬派で真面目なイメージを持たれがちだが、その実、俺は道徳心もなければ倫理観も欠落している。  ちゅぱちゅぱと俺のペニスしゃぶる雪野(ゆき)。  この学校では有名なビッチだ。  誘われれば、まず断るコトなく股を開く。  ただ、下手くそ相手に2度目はない。  茶色のマッシュヘアは小動物を思わせ、くりくりの瞳を潤ませオネダリをすれば、大体は(かま)り通る。  ふわふわと柔らかな印象を与える見た目だが、その内はドロドロに汚れたもので埋め尽くされている。  貞操などという言葉は、雪野には無関係だ。 「そ」  冷めた音で、雪野へと声を返した。 「ふっといしぃ、反りがさぁ、鬼じゃん?」  一言一言の合間に、れろんれろんと俺のペニスを舐め上げる雪野。  実体的な刺激は、気持ちがいい。  だけど、俺のペニスを()ち上げるまでの魅力はない。

ともだちにシェアしよう!