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第2話 踊る胸

 生徒が減って、使われなくなった北校舎。  俺たちは、2階の奥の空き教室を陣取っている。 「うぃーっす」  怠そうな声を放ちながら、顔を見せたのは、阿妻(あず)。  所々が青く染まる髪は(うなじ)を隠すほどに長い。  整った顔立ちでニコニコと笑みを絶やさない阿妻は、男女を問わずに好印象を持たれる。  見た目通りのチャラく軟派な性格の阿妻は、その(なつ)っこさから人脈は広く、簡単に人の懐に入っていく。 「遅かったな?」  股間に雪野を(はべ)らせたままに、億劫な視線を向ける俺。 「ぁあ、んー。久し振りに浦田(うら)見つけて、一発ヤってきた」  ニッと屈託なく笑う阿妻。  阿妻のスラックスは、前が寛げられたままで、オレンジの下着が丸見えだ。  その下では、今さっきまで浦田の中を蹂躙していたであろう長大なペニスが、硬度を保ち存在を主張していた。  浦田は、カテゴライズするのなら、美人という枠だろう。  綺麗に整えられた黒髪、無精髭すら見たコトのない、きちんとした身嗜み。  普段から、スラックスにジャケット姿という社会人然とした格好。  非の打ち所が無いように見えるが、その実、辱しめを受け興奮するタイプの人種だ。  (しお)れたままの俺のペニスを握り、むにゅむにゅとした刺激を加えながら雪野は、不満の声を上げる。 「えー。阿妻、ちゃんと()つぅ? 」  むぅっと顔を歪めながら、文句を放つ雪野。 「当たり前だろ。ぜんぜんイケるわ」  絶倫の阿妻だ。  1発や2発出したところで、満足などするはずもなければ、(しぼ)む心配もない。 「ってことで、土産持ってきたよ」  ししっと笑った阿妻が教室へと足を踏み入れる。  その小脇には、制服ではない男物のスラックスと地味な灰色のボクサーパンツ。  スラックスを教卓の上に放った阿妻は、灰色の下着を指に引っ掻け、くるくると回す。 「もうちょっとで着くと思うんだけど……?」  にたにたとした笑みを浮かべ呟いた阿妻は、自分が入ってきた扉を見やりながら、この先の“お楽しみ“に、胸を踊らせる。

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