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第21話 面倒臭い大人

 前へと突き出していた腰を引けば、近堂の視線から陰部を隠したい浦田の身体も下がってくる。 「ぁ、…ぃや、………ゃだぁ…」  浦田の腰を抱き、床に座り込んだ。  近堂に良く見えるようにと、浦田の膝裏に手を差し込み、大きく割り開く。  ずっぽりとオレのペニスを咥え込む孔が、近堂の視界に曝される。  浦田の抵抗を阻むように、下から小さく小突きながら、近堂に向かって笑んでやる。 「指、挿入れみる? すんげぇトロットロだよ」  くつくつと笑うオレに、近堂は軽く頭を振るい、ゆるりと寄ってきた。 「もう、いいだろ……。今日はこの辺で勘弁してくれよ?」  疲れ呆れたようなに紡がれる近堂の声。  壊れちまうぞ…というように、険しい表情を浮かべ、慈悲を乞うように眉根を寄せた。  何で、こんな顔をするのだろう。  “お前みたいな淫乱ちゃんには、俺1人じゃ足りないだろ? いっぱい抱かれて、満足したか?“って言ってやればいいのに。  その方が、浦田も喜ぶんじゃねぇの?  オレの煽りに乗ってこない近堂に、興醒めした。  はあっとわざとらしく溜め息を吐き、浦田の下から身体を抜く。 「ぁあ、ンッ………」  ずるんっと引き抜かれるオレのペニスに、浦田は惜しむような音で喘いだ。  解放された浦田は、目の前にしゃがんだ近堂に縋りつく。  ぐずぐずと泣きながら抱き着いてくる浦田の頭を柔らかく撫でる近堂が口を開いた。 「……ごめん、な」  心底申し訳なさそうな空気を纏いながら紡がれる近堂のこの言葉に、謝罪の念など微塵も籠っていない。  表層だけの償いの言葉に過ぎない。  初めて浦田を犯した日。 「僕のコトは好きにしていい。だから、近堂先生には何もしないで」  近堂を守ろうとする浦田の言葉に、オレは首を傾げた。  あの動画を押さえられたのは、近堂の企みだ。  浦田の性欲に、辟易(へきえき)した近堂が、オレたちを巻き込んだに過ぎない。  浦田だって、気づいてるんじゃねぇの?  本当に、近堂のためにヤられに来たの?  近堂を守るためって言ってるけど、自分のためなんじゃねぇの?  近堂は、自分だけでは手に負えないから、オレたちを巻き込んだ。  浦田は、有り余る性欲をオレたちを使って解消している。  別にいいんじゃねぇの?  自分のためで、何が悪いの?  近堂も浦田も、素直に自分のためだと白状すればいいのに。  体裁を繕って、お前の為だと偽善者ぶる。  自分のエゴは、恥ずかしいものだと直隠(ひたかく)す。  大人って、面倒臭ぇな。  少しだけ落ち着いた浦田は、近堂に抱き起こされた。  床に放られたままのスラックスを拾った近堂は、浦田を横抱きにかかえ、振り返らずに教室を出ていった。  この後、確実にヤるんだろうな。  オレのセックスは、あいつらにとっても興奮を煽る前戯扱いかよ。  むしゃくしゃする気分に、落ち着く素振りすらないペニスを弄る。  真横で交わされている会話に、興味が湧く。

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