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第28話 アンモラルな日常

 ずっ、と軽く腰を引いたタイミングで、阿妻が奥へと押し込んだ。  狭い孔の中で、お互いの亀頭が擦れ、びりっとした痺れが身体を駆ける。 「ぁ、ぁあ…ん……」  その衝撃は、雪野の身体にも響いたらしく、身体を仰け反らせ、震える。  先程よりも弱くなった締めつけに、阿妻が動き始める。  小さく、でも確実に雪野の感じる場所を何度も小突く。 「ゃ、ぁ……、ほかの、で、イケなく、な…、ちゃぅぅ」  ひんひんと啼き喚く雪野のペニスが、ぷしゃりと潮を吹く。  奥も手前も入口もすべてが余すところなく刺激される感覚に、雪野のペニスは壊れたように、だらだらと精液ともカウパーともつかない粘液を溢れさせた。  俺たちに挟まれた雪野は、あまりの過激な刺激に意識を半分飛ばしている。  中途半端にスラックスの前だけを寛げ、抱いていた俺のワイシャツは、雪野が吐き出した体液にじわじわと濡らされていく。 「ははっ……熊原まで、ぐっしょりじゃん」  雪野の身体を押し潰すように、ぐっと寄った阿妻に、濡れたシャツを揶揄(からか)われる。  赤くなる頬。荒くなる息遣い。  じんわりと浮き出る汗が、阿妻を濃艷(のうえん)に彩っていく。  その表情は無邪気な笑顔なのに、醸し出されている空気は、腹底を刺激する(なまめ)かしさを侍らせる。  阿妻のペニスと擦れる振動に、堪らなく腰が震えた。  近づいた阿妻の後頭部に手を回し、髪を鷲掴む。  阿妻は笑みを絶やさず、まるで子供の悪戯でもあしらうように、柔らかく爽やかに俺の唇に、軽いキスを落とした。  俺の粗暴な欲望を、柔和な阿妻が包むように受け止める。 「もうちょい、挿入(いれ)るわ」  ふうっと射精感を往なした阿妻は、雪野の尻肉をぐにゅっと掴み、小刻みに揺らしながら、ペニスを押し込んでいく。  ずるんっと何かを突き抜けたような衝撃がペニスを伝った。 「ひ、ぁ……ん、…おく、ま、で……ぁ、あ…」  結腸まで届いたであろう阿妻のペニスに、雪野の身体が、がくがくと震える。  痙攣する襞が、俺のペニスをも舐めしゃぶる。  精液を強情る内襞に、口角を上げた。 「はっ……、もっとかよ?」  狭い空間に激しくは動けないものの、俺は、ごりごりと前立腺を抉り上げる。 「ぁ、あ……ら、め、……ひ、ゃああ」  俺の動きに合わせるように、阿妻は阿妻で、奥まで押し込んだペニスで、内臓を捏ね上げる。 「ぁ、あ………ぁうっ…」  だらりと雪野の口の端から、涎が溢れた。  仰け反った雪野の身体が、阿妻に凭れる。 「ぁ。飛んじゃった」  さらりと放たれた阿妻の声。  阿妻の肩に後頭部を預けた雪野の身体が、ぴくぴくと痙攣する。  俺の腹に擦りつけられていた雪野のペニスは、未だにぷしぷしと少量の潮を吐き続けている。 「()めれねぇわ」  未だに一度もイッていない俺は、ここでは引けないと、腰を揺らした。 「オレも。もうちょいなんだよね」  ニッと笑った阿妻も、腰を燻らせた。  失神した雪野をそのままに、俺たちは暫くの間に、堪らない快感を貪り続けた。  俺たちは共有する。  大好きなこいつが汚した身体を、俺は貪る。  淫らに交わる乱舞の時間。  おかしいだの。狂ってるだの。  言いたいヤツには、言わせておく。  これが俺たちの日常だ。  誰にも俺たちの日常を壊す権利はない。  このアンモラルな空間が、俺たちの日常であり、平常なのだ ――。 【 E N D 】

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